第12話 マラッカ海峡危機

空想近未来小説


 マラッカ海峡で海賊に船舶がおそわれることが頻発してきた。本来ならばマラッカ海峡に接しているマレーシア・シンガポール・インドネシアが対処すべきことであるが、海賊の本拠地が確定できず、船舶からSOSが出た場合の対処しかできなかった。しかし、あまりにも頻繁に起きるので、WPKCに調査依頼がやってきたのである。

 そこでジョーは次のメンバーを召集した。

 キム  (SK国出身・情報・通信担当)  37才

 タッキー(J国出身 ・ヘリ担当)     33才

 ソチ  (R国出身 ・船舶担当)     31才

 マギー (T国出身 ・ドクター)     29才

 ジン  (J国出身 ・銃器担当)     28才

 ミン  (C国出身 ・空手の達人)    27才

 いずれも過去に何度かチームを組んだ仲であり、やりやすいメンバーであった。

 まずは、WPKC極東支部で情報処理に取り組んだ。海賊はマラッカ海峡のいたるところに出没しているが、海賊の動きを解析すると、インドネシア領の孤島に寄っていることがわかった。そこからまた別の島に行っているのである。本部の島とねぐらの島は違うのかもしれない。でも、本部の島がほぼ特定できたので、ジョーたちはタッキーの操縦する大型ヘリでインドネシアにとんだ。

 数日後、また海賊船が現れ、J国籍の船舶がねらわれた。この時はJ国の監視船が近くにいたので、海賊を追い払うことができた。キムは、海賊たちの動きを衛星カメラで追った。何も奪うことができなかったので、散開して島にもどっていったが、3艘だけ例の島に寄っていった。複数の船が寄るということで、本部の島であることがほぼ確定である。

 ソチが手配した高速ゴムボートで、その島に上陸することにした。夜半に島に上陸。砂浜には警戒がなかったが、ジンが

「Stop !The sensor is responding . There's a mine . 」

(止まれ! センサーが反応している。地雷があるぞ)

 ということで、ジンが先頭で歩くことにした。砂浜を抜けるとセンサーは作動しなくなった。しかし、罠があった。ひっかかったのはジンである。古典的なわなでヒモにひっかかると矢がとんでくる仕組みだ。ジンのふとももにあたった。幸い深くはない。マギーが応急処置をする。歩くのはつらそうなので、マギーとジンはここに残ることにした。作戦終了後にはタッキーが迎えにくることになっている。

 わなに気をつけながら本部と思われる建物に近くに陣取った。しばらく様子見だ。そしてイノセントドローンをキムがとばした。ドローンの映像にはただの事務所の様子しかでてこない。海賊行為をした物品はすでに処分されたのかもしれない。

 そのことを暗号で極東支部に連絡をした。その返事は

「 Stay there for a while . 」

(しばらくその場にとどまれ)

 であった。一同ため息である。敵地でテントを設営するわけにはいかず、そのまま野営である。緊急食糧は1日分あるが、いつまでいるかわからないので、節約しなければならない。

 その夜、新たな指令がきた。

「 Send out a decoy ship and make them do proaci on purpose . After that , I would like to confirm that you will gather at the headquarters there . Once confirmed , the Indonesian Navy will launch an attack . 」

(囮の船舶を出し、わざと海賊行為をさせる。その上で、その本部に集結することを確認してほしい。確認できたらインドネシア海軍が攻撃を開始する)

 というものであった。

「 Hey , how's our escape going ? 」

(おい、俺たちの脱出はどうなっているんだ?)

 とソチが聞いてきた。それで、脱出方法を確認すると砲撃のあとに海兵隊が上陸するので、その部隊といっしょに離脱せよ。という指令であった。

「 Does that mean we have to withstand the bombardment ? 」

(砲撃に耐えろということか)

 とソチが不満を訴える。そこで、ジョーは最低限のメンバーを残し、後はジンとマギーがいるところまで退去させて、タッキーにヘリで迎えにきてもらうことにした。


 ジョーは居残り志願者を募った。情報・通信担当のキムは仕方なく手を挙げた。ミンも護衛役を引きうけてくれた。帰るのはソチだけとなった。ソチは船舶担当なのでここにいてもさほど役に立つわけではない。仕方ないことだとジョーは了承した。

 

 翌日、囮作戦が実行された。夕刻、海賊船の集団がやってくる。キムは望遠カメラで撮影し、極東支部に生中継をしている。そこに海賊のパトロールが近づいてきた。カメラが光に反射したのかもしれない。だれかを探している様子だ。そこで、ジョーとリンは物陰に隠れて、パトロールをやっつけることにした。相手は5人である。

 リンが一番左にいた敵をまわしげり一撃で倒し、ナイフでしとめた。音もなくすますことができた。ジョーは木の陰に隠れていて、近くにきた敵を後ろからはがいじめにしてナイフでのどぶえを斬った。ところが、その際、ドサッと物音がした。残り3人は警戒している。個別に探すのは危ないと判断したのだろう。3人固まって行動している。こうなると、ジョーのサブマシンガンが有効だ。リンが物音をたてて、3人がそっちを振り向いた時にジョーのサブマシンガンがさく裂し、3人はあっけなく倒れた。そして素早く移動。他にもパトロールがいるかもしれないからだ。そこに艦砲射撃が始まった。ジョーたちの近くまで砲弾がとんでくる。目標位置を間違えたら一巻の終わりだ。インドネシア海軍を信じるしかない。

 30分ほどで艦砲射撃がおさまった。艦艇から上陸用舟艇がやってきて、海兵隊が本部に攻め込む。銃撃戦が始まった。これまた30分ほどでおさまった。

 ジョーは無線で海兵隊と連絡を取り合い、ジョーたちは無事回収された。ジンたちもタッキーのヘリに救われている。

 これにてマラッカ海峡での任務終了。


 

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