第2話 NC国潜入 核実験施設調査
空想近未来小説
オレは、6人の仲間を集めることにし、極東支局に申請した。申請書は受理され、その6人が東京事務所に集まった。
キム (SK国出身)情報・通信のプロ 35才
リー (C国出身) 爆破のプロ 33才
タッキー(J国出身) ヘリのパイロット 31才
チャイ (F国出身) 物理学者 30才
グエン (B国出身) 運転のプロ 28才
マギー (T国出身) ドクター 27才
作戦は、あってないようなものだが、SK国からヘリでNC国に潜入し、特殊車両2台で核研究施設に向かう。そこで、実験施設を探索し、核を開発していると判断したらそれを破壊する。後は、別個に集合地点に戻る。それだけだった。
6月の雨の日の夜、SK国とNC国の国境近くの山の麓から輸送機のヘリが飛び立った。一度海に出て、できる限り低空で飛んだ。NC国のレーダーには、高度を飛ぶ別のヘリが感知されているところだ。NC国の防空隊はそちらの方に向かったようだ。もちろん、そのヘリは速やかに退去している。こちらのヘリはそのころにはNC国の目的地の山陰に着陸していた。ここから目的地の核実験場までおよそ100km。およそ4時間の距離だ。
ヘリは6人と特殊車両2台を降ろすと、静かに飛び立った。音が少ない最新式のヘリなのだ。
「タッキー無事でいろよ。また会おう」
とオレは、同国人のタッキーに日本語で話しかけた。タッキーは笑顔で返してくれた。
特殊車両は、ジープを改造したSUVだ。防弾仕様なので、マシンガン程度では問題ない。また転倒しても、すぐに復元できるようなしかけがしてある。1号車にはオレとキムとチャイ、2号車にはリーとグエンとマギーが乗った。皆WPKC(世界平和維持部隊)の隊員なので、武器の扱いには慣れている。全員マシンガンとピストルそしてナイフを所持している。
その夜のうちに、実験場へ1kmのところまで近づいた。ここで2台は停まった。近くの枝や草で迷彩を施した。ここからは歩きだ。朝5時、日の出が近い。
キムが小型ドローンを準備した。地雷探知機を装備している。そのドローンが得た情報を各自のスマホにインプットする。地雷の3m以内に近づくと、振動で教えてくれる。もっとも先頭のグエンはモニターを見ながら歩いているので、グエンの後ろをついていけば問題はない。グエンの後ろにリーが赤外線カメラを装備してガードしている。
軍事施設ではないので、警備はさほど厳重ではないようだ。だが、100mまで近づいた時に、実験場でサイレンがなった。(見つかったか?)オレは、皆に目配せをして草地に伏せさせた。だが、警備員が来る気配はない。朝6時のサイレンだったのかもしれない。起床のサイレンか? ここでキムが超小型のイノセントドローンを飛ばした。セミぐらいの大きさのドローンでカメラがついている。バッテリーが小さいので1時間ほどしか使えないが、目的地の近くまでくれば情報収集ができる。それで見ると、警備員の大きな動きはない。
ドアが開いた瞬間に、室内に入ることができた。長い廊下の左右に実験室のような部屋が並んでいる。奥のドアの向こうが実験場のようだ。その扉はなかなか開かず、イノセントドローンを廊下のロッカーの上に着陸させた。
潜入は、夜にならなければならない。救援ヘリとの合流は明日の夜。勝負は今夜だ。
キムが2匹目のイノセントドローンを飛ばした。廊下の右にある制御室に忍びこませようとしている。運よく、ドアが開き制御室に入ることができた。モニターはどれも作動していなかった。ドローンをロッカーの上に着地させ、モニターが作動するのを待った。あと10分ほどでバッテリーがきれるというところで、実験場のスタッフがやってきて、PCを作動させた。
キムが小さい声で
「Bravo! 」(やったぜ)
と呟いた。オレが
「What's happen ? 」(どうした?)
と聞くと、
「Maybe a passwaord was underastand . It's being analyzed now . 」
(パスワードがわかったかもしれない。今、解析中だ)
「Wah ! Good job ! 」(すごい! いい仕事だ!)
暗くなって、いたる所で照明が落ちた。いよいよ潜入だ。鉄条網を破り、建物に潜入。爆破専門のリーが錠を破壊する。ブスッという鈍い音がするだけで、ドアは開いた。粘土で爆破の消音ができるのだ。すんなりと制御室まで行くことができた。
キムとチャイがPCを作動させた。パスワードは合っていた。キムはそのデータをコピーしている。チャイは別のモニターで実験がどこまでいっているかを確かめている。核爆弾が完成していたら、破壊しなければならない。
オレはチャイに問うた。
「Isn't it understood yet ? 」(まだ分からないのか?)
「Don't fade . When teaching a virus to a PC when a nuclear bomb isn't complete , duty is an end . To it doesn't have to stand out . 」
(あせるな。完成していなければ、PCにウィルスをしこめば任務は終了だ。その方が目だたなくていい)
「That's so ・・・Patrol comes soon . 」
(それはそうだが・・・今にパトロールがくる)
「It's your work . 」
(それはあんたたちの仕事だ)
と言っているうちに、パトロールがやってきた。奥のドアが開いて2人の警備員がむかってきている。とっさに2つのモニターに覆いをかぶせ、6人は身を伏せた。警備員が制御室に入ったところで、リーとグエンがとびかかった。瞬く間にナイフで刺し殺した。
「No time . If patrol doesn't return , many persons come from a guard room . 」
(時間がないぞ。パトロールがもどってこないとなれば、警備室から多くの者がやってくる)
チャイが
「Wait for 5 minutes . I have to understood with that , a nuclear bomb , it's destruction . 」
(5分待て。それで分からなければ核爆弾を破壊だ)
「Is it putting which makes cause a nuclear blast here gradually ? 」
(おいおい核爆発をここで起こさせる気か?)
爆破担当のリーが呆れて言った。
「That case is blow up in these facilities . When there is a nuclear bomb , i'll come to take it away later . 」
(その時は、この施設の爆破だ。核爆弾があれば後で奪いにくる)
緊張の時間が過ぎる、1分が1時間にも感じる。チャイがぶつぶつ言っている。
「It has reached the final stage ・・・but , ・・・」
(最後の段階までいっている。・・だが・・・)
「Chai It's been five minutes . What about that ?」
(チャイ、5分たったぞ。どうなんだ?)
「It's final stage . After that , control of nuclear fusion ・・・」
(最終段階までいっている。後は核融合の制御・・)
「No explanation needed . Only Yes or No ? 」
(説明はいい。イエスかノーどっちだ?)
オレの剣幕にチャイは驚きながらも
「It's ・・・No !」
(それはノーだ!)
「I see . Kim , inject the virus . 」
(わかった。キム、ウィルス注入だ)
「OK ! GO !」
(わかった。行け!)
キムは用意していたUSBを差し込んだ。ダウンロードが終われば、ここのPCだけでなく、ネットワークでつながったPCも汚染される。そうなればNC国の政府機能が働くなる。痛快なことだ。
「Finish !」(終了!)
キムの合図で6人は脱出に向けて走った。ところが、そこに多くの警備員が追いかけてくる。マシンガンの撃ちあいが始まった。
リーが手投げ爆弾を投げ、一時銃声がやんだ。その隙に外に出た。外に出ると警備隊の車両がやってきた。爆弾の音で、駆けつけてきたらしい。オレとグエンがピンポイントで警備員を狙い撃ちをし、スピードが遅くなった車にグエンが飛び乗り、車両を奪った。それに6人が乗り込み、正面ゲートから突破だ。後ろからは他の車両が追いかけてくる。なんとヘリまでやってきた。小型のヘリだが武装している。ミサイルを撃たれたらやられると思っていたら、ジグザグに飛行を始め、しまいには墜落してしまった。
「I did it ! The heli pilot activated the PC and it was contaminated with the virus . 」
(やったぜ。ヘリのパイロットがPCを作動させたからウィルスに汚染されたんだ」
と、キムが叫んでいた。しかし、一難去ってまた一難。追いかけてくる車両が対戦車ミサイルを持ち出している。グエンがとっさにハンドルを切って脇道に入ったので、1発目は避けることができた。しかし、入った道は森の一本道。次が来たら避けられない。そこへミサイルの発射音。
「Get out ! 」(逃げろ!)
6人は、とっさに車から飛び降りた。そこへミサイルが命中。
すぐさまリーが小型爆弾つきの弾丸で、追いかけてきた車両を仕留めたので、敵の追撃はそこで止まった。
「Everybody all right ? 」(みんな大丈夫か?)
転がっているメンバーを確かめると、一番最後に飛び降りたグエンが足を痛めている。
「Magee come on ! 」
(マギー、来てくれ!)
ドクターのマギーがグエンの足を診ている。爆弾や車両の破片が足に突き刺さっている。
「If he doesn't do it early , his legs will rot . 」
(早く手術しないと足が腐る)
「Hurry up . The hidden SUV is a little more . Magee is waiting here with Guen . 」
(急ごう。隠したSUVまではもう少しだ。マギーはここでグエンと待っていてくれ」
「OK」
残った4人でSUVまで走った。5分ほどで到着し、オレはマギーとグエンのところにもどった。もう1台はリーの運転で、ヘリとの合流地点へ向かわせた。
マギーとグエンがいるはずのところまで来たが、2人がいない。(敵に襲われたか?)と思い、GPSで二人の場所を探すと100mほどのところにいることがわかった。その瞬間、銃撃された。素早くSUVに乗り込む。防弾仕様なので、少々の攻撃には耐えられる。二人はすぐに見つかった。二人を素早く乗せ、猛ダッシュで逃げる。しかし、向こうの車両の方が速い。トラックベースの装甲車だ。こちらは小型のジープの改造車。隠密行動は得意だが、馬力では負ける。すると、グエンがマギーに
「Throw a rope & makibishi to stop the runaway car . 」
(暴走車を止めるためのまき菱つきのロープを投げろ)
と言っている。そこで、マギーは後部座席の下にあるロープを取り出し、広げて後ろへ投げつけた。ロープは追跡車両の右タイヤにからまってパンクし、車両は右に曲がって止まった。こんな原始的な道具が役に立つとは・・・3人は笑いが止まらなかった。
ヘリとの合流地点に着くと、リーたちはすでにヘリに乗っていた。SUVはここに乗り捨てる。WPKC(World Peace Keeping Corps )の痕跡は何もない。ただの不審車だ。
タッキーはスピードの出るジェットヘリで迎えに来てくれていた。少々狭いが、並みの飛行機よりは速い。沖にいるヘリ空母まで一直線。PCの異常のせいか、敵は追ってこなかった。
任務終了。
後日、NC国は、ハッカーによりハッキング攻撃を受けたと発表した。しかし、核実験施設が破壊されたとは公表しなかった。国連で核開発は認められておらず、極秘ですすめていた研究だからである。
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