世界平和維持部隊
飛鳥 竜二
第1話 平和維持部隊誕生
空想近未来小説
オレの名は、ジョー西嶋。職業は世界平和維持部隊極東支局隊員。階級はない。というか、この部隊に階級はない。チームを組むことはあるが、基本は個人で行動する。チームを組む場合は、リーダーになる者がチームを集め、任務を遂行する。上意下達の組織ではない。
この世界平和維持部隊の目的は、文字どおり世界平和を維持するための組織である。2025年に国連の主導のもとに創設されたが、国連の下部組織ではない。独立した組織だが、国連の支持を受けていることには変わりない。創設のきっかけは2022年に起きたR国のU国侵攻だった。それはR国で政変が起こり、首脳が自殺をしたことでおさまったが、国連は事前に侵攻を食い止めることができなかったことを重く感じ、この世界平和維持部隊の創設を結成することを決定したのだ。
当初は、常任理事国の中に同意しない国があったが、他の国から
「これは世界平和のための組織であり、貴国が紛争を起こす気がなければ反対する理由はない。むしろ、貴国に攻め入る国がなくなるわけだから貴国にとってもプラスになると思うのだが・・」
という説得がされ、しぶしぶ同意せざるを得なかったという事情がある。
この極東支局は、C国とJ国の国境にある無人島が本部となっていた。洞窟の中に滑走路があるのは、かつての人気ドラマ「サンダーバード」の雰囲気だ。ここに200人ほどの隊員が常駐している。ほとんどが情報収集に関わっている。出身はさまざまである。主にアジア系だが、中にはアメリカ・ヨーロッパ・アフリカ出身の者もいる。
極東支局の他には4つの支局があった。アメリカ支局(本部コスタリカ)、西ヨーロッパ支局(本部デンマーク)、東ヨーロッパ支局(本部ロシア)、南半球支局(本部スリランカ)共通のマークはオリンピックと同じ五輪のマークだが、上2つ下3つの五輪マークだ。
オレは東京の自宅マンションを事務所にしていた。極東支局とはネットと特殊無線でつながっている。そこで必要な情報を得ている。
最近の気になる情報は、NC国の動向だ。以前からミサイル発射実験を繰り返している国だが、最近核兵器の開発をしているらしい。という情報が入っている。オレはその情報を確認するために実験場に潜入し、もしそれが本当ならば実験場を破壊しなければならないと考えていた。そこで、支局に作戦企画書を提出し、先日それが受理された。
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