ドM vs ドS

「えっ、わたくしはどちらにつけば?」


「俺がSだから、Mで頼む」


「分かりましたわ」


「両派って大変だな」(笑)


「……皮肉でおっしゃって?」(怒)ギラッ


「違う。違う。普通に心配しているだけだ」(笑)


「あからさまなSですわ……」(笑)


「はっ、そっちこそ、その状況を楽しんでいるようだが?」


「当たり前。なんてったって、ドMですもの」


「……なあ、悪役令嬢、SとMって誇れるものなの?」


「―――誇れるわけないですわ‼」


「情けねー」


「いまさらそんなこと言っても恥ですわね。もうすでにわたくしたちは情けの中の情けなのです!」


「うん。分かった。要するに悲しい」


「ですわですわ。でももうこうなったからには、恥を走り抜けるしかありませんの」


「……恥を走り抜けるとは?」


「―――さあ?そこを考えるところからが始まりですわ」


「なんかカッコ良く言うな。てか恥を走り抜けれるようなメンタルはMの特性?」


「ふっ、素晴らしいでしょう」


「素晴らしくねーな」


「では聞きますが、宿題やりたくねーとわぁわぁよく喚けるものですわね?先生がいる中、そんなこと言って、先生を悲しませるだけでしょう?」


「―――いや、みんな宿題嫌いっしょ。それに学校も―――」


「うわ。なんと見苦しい言い訳。「みんな」ってなんですの?わたくしは嫌いじゃないですけど。宿題も学校も」


「……お前もやっぱSやん」


「いいえ。Sよりの自称Mですわ!」


「どっちだよ」


「だから、どっちもですわ」

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