理系vs文系

「これ……両方当てはまらない、っていうオチじゃいけないのか?」


「ふっ、じゃあわたくしは両派と答えましょう」


「なっ‼……口では何とだって言えるだろ!」


「あら、美少女の可愛い戯言たわごとを本気にしちゃって……」


「―――違う。俺は本気になどしていない!」


「美少女は否定しないんですの?」


「ッッ!お前なぁ……」


「顔が赤いですけど」


「幻覚だ」


「ふーん。ま、わたくし、男には困らない顔ですので」


「それ、ぶりっ子のいじめっ子が言うやつじゃん。俺、実際に見るの初めてだわ」


「別にいいですわ。こう見えて学校では眼鏡のおさげの文系地味子ですから」


「マジで⁉それ甘々な小説のヒロインやん。もう文系って事どうでもいいくらいぶっ飛んだわ」


「嘘ですわ。そんなわけあって?文系はほんとですけど」


「まあ、一応俺は理系だから理系派にしておく。まあ理系は計算できるようになるし実験は楽しいからいいけど」


「文系って、天才なイメージありません?」


「まあ」


「文系って、実は可愛いイメージありません?」


「……まあ」


「文系って、おしとやかなイメージありません?」


「―――お前が言えることじゃねーだろ‼」


「あら、文系のことを言ってるんですけど。わたくしのことを言えとは一言も。あっ、もしや、わたくしのことが気になりすぎて、つい……」


「なわけあるか。妄想が過ぎるだろ……」


「おっと。失敬。では、理系派の意見も聞いてあげてもよくて?」


「まずだな。理系というのは、物知りだろ」


「えっ、そうなんですの?」


「どう考えてもそうだろ」


「えっ、でも、理系である現代男子って、冬のほうがお金がかかるって、最近知ったって言ってませんでした?わたくしは知っていたのに」


「そ、それは」


「あっ、人には個人差がありますものね。なるほどなるほど。やはり現代男子は残念系の理系ですか」


「まあ、いろんな人がいて、人脈豊かってことで。で、最後の一言余計だな。あと『やはり』が鼻につくんだけど」


「おほほ。わたくしはいつでも一言余計にいちゃもん付ける性格ですので。ご了承あれ」


「いやその性格大丈夫?マジで」


「いわゆるSですわ」


「あっ、承知しました」


「ちょっと。Sを否定してくれませんの⁉」


「いや、悪役令嬢は明らかにSだね。まぁ、俺も同じだわ」


「違います。そういう否定じゃなくって……。つまり、わたくし、SでありMなのです」


「あ、すごい納得がいく」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る