魔剣で空を斬る

「デュランダルよ、魔剣となれ……!」


 デュランダルの刀身が、闇に染まる。


「ミナト様! あたしも戦いますっ!」


 ぴかりが駆けつけてくれる。


「そ、それは魔剣⁉︎ 失われた古代の魔術武装……」

「まあな」

「デュランダルは魔剣だったのですね」


 正確には違う。


 デュランダルは、魔剣にも聖剣にもなる。


 所有者の俺の命令で、変形する剣だ。 


「ミナト様は、魔剣でホワイトドラゴンを……」

「斬る——のは、大変だよな」

「え?」

「ぴかり、しっかり俺につかまってくれ」


 俺は魔剣を天に掲げて、


「闇に消えよ——次元斬!」


 俺は魔剣で、空を斬る。


「こ、これはいったい……?」


 空が裂け、【次元の狭間】が現れる。


「次元の狭間で、永遠に彷徨え——」


「ぎじあぁぃあぁぃぁぁぁぃぁぁぃぁぃ!!」


 次元の狭間へ、ホワイトドラゴンは吸い込まれていく。


「ホワイトドラゴンが……消えました」

「ふう……終わったな」


 久しぶりに魔剣を振った。


 前世で聖霊王オーベロンと戦った時、以来だな。


「ミナト様はすごすぎます……規格外すぎて着いていけません……」

「む。あそこに誰かいるな」


 体育館の裏から、視線を感じた。


「……え? 誰もいませんけど」


 いや、たしかに誰かいた。


 ちらっとだが、制服のスカートが見えたような。


 ホワイトドラゴンの出現と関係がありそうだ。


 しかし、あの不快な視線はどこかで……?



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