アリオス、お前は乳がデカい女が好きなのか?

 裏ダンジョンから地上へ、俺は歩いていた。


「ふう……やっと地上ね。遅いわよ。アリオス」

「だったら自分で歩けよ」

「薄情者っ! 10歳の少女に危険なダンジョンを歩かせる気?」


 10歳の少女に(ミスって)転生した、竜魔王ことヴェラ・ドラゴンロード。


 10歳の少女の肉体では、到底ダンジョン内を移動できない。

 

 だから俺が【おんぶ】しているわけだが。

 

「はあ……」

「なによっ! そのクソデカいため息はっ!」

「いやね、重いからさあ」

「あ、あたしが重いですって!!」


 俺の頭をポカポカ叩きまくるヴェラ。


 地味に痛い……


『湊様のおんぶ、羨ましいっ……じゅるじゅる』


 ぴかりの声がインカムから聞こえる。


 最後、なんか変な音がしたが。


『嘘でしょ……大葉様は幼女が好きなのですね……』


 宮下さん、その勘違いはガチでやめてくれ。


「……よし。もうすぐ地上だぞ」


 ★


「この子が伝説の七魔王のひとり、竜魔王ですか……」

「アリオス、お前はこんな女がいいの?」


 とりあえず、特級ギルドへ連れてきた。


 ギルマスの桜井司令官の部屋へ。


 宮下さんも一緒だ。


「乳がデカいだけじゃない……ううっ」


 突然、ヴェラは泣き出す。


(たしかに、2人とも胸はデカいよな……)


「……それにしても、竜魔王は黒竜の姿をしていたはず。どうしてこんな姿に?」


 桜井司令官が首をかしげると、


「おそらくですが、転生の秘術を使う際に、魔力の大半を失ってしまったのかと……」

「そうだな。転生の秘術には膨大な魔力が……」


と、みんなで話していたら——


「アリオスっ! あたしを抱きなさいっ!!」

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