ドラゴンロードの覚醒「転生、ミスった」

『大葉様……! いったいこれは……?」


 この光、どこかで……?


 まさか。


 バリンっ……!


 水晶が割れて、女の子が流れてきた。


「うっ……誰だ? 我の眠りを覚ます者は?」

「大丈夫か?」


 俺は女の子を抱き上げた。


 絹のような白い、きれいな身体。


 長くて赤い髪から、小さな角が二本見える。


「お前か。我の眠りを妨げた不埒者は……って、アリオスか?」

「!! どうして俺の名を?」

「我のことを忘れたのか? あの闘いの日々を」


 闘いの日々。


 もしかして。


「……ヴェラ・ドラゴンロード【竜魔王】か?」

「やっと思い出したな」


 ヴェラ・ドラゴンロード。


 別名、竜魔王。


 七魔王の中で最も強大な第一魔王だ。


 前世でこいつとは何度も闘った。


 死闘を繰り広げた末に、俺はこいつを倒した。

 

 そのはずが、


「ふははははっ! 我は転生したのだぁ! アリオス、今度こそキサマを倒すっ!」

「……そうか。とりあえず、服を着てくれないか?」

「ふ、服だと? 何を言っておる?」

「いや、なんつうか、このままじゃいろいろマズイんだ」

「アリオス、逃げる気か?」

「そうじゃなくて……」


 ヴェラは自分が【元の姿】で転生に成功したと思っているみたいだ。


 どう切り出すべきか?


「あれ、見て」


 俺は水晶の破片を指差した。


「我を侮辱しているのか……な、なんだこれはぁ!」

「転生、ミスったな」

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 女の子の声になっとる……



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