究極の防御魔術🛡

「クソっ……このままじゃ……」

「おい! ヒーラー! 回復を!」

「無理ですっ……追いつかない」 

「くっ……デバフが……効かない!」


 剣士、ヒーラー、タンク、魔術師のパーティー。


 サランマンダー相手に苦戦中。


【このままじゃヤバいな】

【死ぬぞ……】

【湊様、助けてあげて!】


 古代魔術、千里眼。


 最上級の【鑑定】だ。


 探索者とモンスターの全ステータスを見通す。


「4人ともS級探索者。サラマンダーは神話級のモンスターか。ドラゴン族、炎属性、魔術強耐性……ふむふむ」


 タンクが煙に包まれている。


 相当、サラマンダーの炎で焼かれたらしい。


 普通のタンクならとっくに死んでいるが、さすがS級探索者だ。


 なんとか持ち堪えている。


 サラマンダーの一撃は、かなりのダメージ。


 ヒーラーはタンクの回復で精一杯だ。


 剣士もダメージが怖くて前に出れないし、魔術師もサラマンダーの魔術耐性の前になす術なし。


【ジリ貧だ……】

【サラマンダー強すぎ】

【湊様、お願い】


「大葉様……このままでは彼らは……」


 インカムから宮下さんの声が聞こえる。


「なんとかするよ」


 古代魔術、霧の壁(フォグウォール)


 白い霧が辺りを包み込む——


「な、なんだこれは……何も見えないっ!」

「サラマンダーはどこだ?」

「いったい何が起こってる……?」


 4人が驚いている。


「大葉様、いったいこの魔術は……?」

「霧の壁、を発動した」

「え? 失われた究極の防御魔術を……? まさかそんなものまで使えるのですか?」

「まあな」


【なんだこの魔術?】

【見たことないぞ】

【何も見えない……】


 すべての攻撃が霧の中に吸収される。


「ぎしゃああああああああああ!!」


 サラマンダーは灼熱の炎を吐く。


 だが、


「大葉様……!」

「大丈夫だよ。手は打った」


 炎は霧の中に消えて行く——

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る