第232話 作戦



「あら、やっぱりメールが来たわ。『魚群アロー』のことね」

「そうだろうな。何と?」


 地下でジュンを吹き飛ばした後、運営からメールが来た。内容は『魚群アロー』のことだ。


「ふむふむ、『魚群アロー』に『魔力収束』は使えるけど、ボスに対してはダメージの減少が起きる。つまり、ボスだけには魔力を込めてもダメージは余り与えられないみたい」

「当然だな。あの威力はゲームにならないからな」


 ジュンにぶつけた『魚群アロー』はボスさえ耐えられない威力なので、この措置は当然だと。ジュンはそれだけじゃないと、聞くとーーーー


「他には?」

「え、これだけみたいよ」

「はぁっ!? プレイヤーに対しては何も無し!?」

「何も無いわね。私だってMPを払っているんだから。それに他の魔法でも一撃で消し飛ばせるし」

「MPの数値は自分自身で支払いを決められるんだろ? 上限とか無しなのか?」

「たかがプレイヤーにMPを全て使う訳がないし、上限を設定したらこの『魚群アロー』を生み出した意味を無くしてしまうからね」

「まぁ、1人だけのプレイヤーに制限を掛けるのは無理だな。『魚群アロー』はお前しか使えないもんな。ってか、俺にはほぼ使っていたよな?」


 『魚群アロー』は初回ソロ討伐で手に入れたから、他に取得手段がない限りはヨミしか持っていないことになる。


「今回は試打だからいいのよ。それよりもアレはいいの?」

「アレ?」

「上司から言われたことよ」


 ジュンは上司から言われている。ヨミばかりが作戦を考えていないでお前が中心になって何か起こせと言われている。本来はジュンが引っ張っていくのを考えていたんだから。


「あー、まだ詳細は決めてないがアイツラと相談したらダンジョンの案があがった」

「ダンジョン? 私達に旨味があったかしら?」


 前にダンジョンの案があがったが、旨味がないし、敵が多過ぎるし、普通すぎるから却下している。


「そうそうと他の案が出る訳無いし、そうなるのも仕方が無いだろ。俺達に旨味は…………ないともない」

「あら、あるのね。まぁ、私が参加してもしなくても大丈夫ように組んでおくのよ」

「わかっているよ。ヨミに頼りすぎはいけないことも言われているからな」

「アルバドムぐらいは貸してあげるわよ」

「その時は頼む」


 もし戦力が欲しい時はアルバドムを貸すことにし、この件の会話は終わった。






「他の人はまだかしら?」

「まだみたいだな。それか俺等みたいに他の場所で加護を試しているかもな」

「それもそうね…………あら? またメール?」


 運営ではないが、またメールが来ていることに気付き、読んでいくとーーーーヨミの口元が釣り上がる。


「…………ねぇ、作戦のこと。私は参加しないわ。あと、マミも連れて行くからね」

「突然だな!? マミは非戦闘者だからいいが何をするつもりだ? あと誰からだ?」

「ふふっ、相手は貴族のルファスで」


 内容はーーーー





「パーティの誘いよ」




 パーティの誘いだった。この誘いが何かが起きないこともなく、ヨミを楽しませるのだったーーーー




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