第220話 成果



 エルメア達を逃してしまったヨミはジョー達と合流して、エルフを生け捕り出来たか聞いてみたのだがーーーー




「え、一人も生け捕り出来なかったの?」


「あぁ、すまない。何人か捕まえたが……」


「青い髪の女性が現れて、転移をされて逃げられちゃった♪」


「青い髪の女性ね……こっちもマヤ、アクアと呼ばれていた別のハイエルフが現れて、エルメアを連れて逃げられたわ」


「ありゃあ、成果無しだわな」


 2人のハイエルフが乱入したせいで、ヨミ達の成果は0になってしまった。


「ローレイもゴメンね。エルメアを逃してしまったわ」


「い、いえ、戦いを見ていたからわかっています。貴方達は失敗をしていなかった。予測してなかったことが起きてしまったの不運でしたから」


「もう、見た目は子供なのに中身は大人みたいよね。……今回は逃してしまったけど、次は必ず捕まえて見せるわ。だから、少し待ってくれるかしら?」


「……ありがとうございます」


 ヨミは時間が掛かろうとも、エルメアは必ず見つけ出すつもりだ。


「向こうと合流するか?」


「向こうも想定外が起きていなければいいけど♪」


「終わったら連絡が来る予定だけど、まだ時間が掛かるなら手伝いに行くのも……あら、連絡が来たわ」


 もう戦いが終わるにしては早いなと思いつつ、通話に出たら…………向こうも想定外が起きていた。









「…………つまり、攻めに入ったらすぐ白旗を上げていたと?」


「あぁ、思っていたより戦力が少なかったようだ。ネルの人形とアルバドムが原因だな」


 ジュン達とも合流し、詳細を聞いてみると……ドワーフの里に入った瞬間にネルが人形の軍団を召喚し、更にメリッサもアルバドムを召喚すると…………ドワーフの族長がすぐ裏から現れて白旗を上げたと言う。


「降参した者を蹂躙するのもなぁ……」


「はぁっ、貴方達の経験値にした方がいいんじゃないの? それか、生かすことでこちらに得があるなら別にだけど」


 ヨミがチラッと見ると降伏して、広い部屋に押し込まれているドワーフ達がビクッと身体を震わせる。

 どうやら、ドワーフは強屈な身体を持っているが戦いには消極的な種族のようだ。


「あ、族長さんから話を聞きました! 私が狙っていた特殊な鍛冶台はドワーフの|手解(てほど)きが必要みたいです!」


「ふーん、なら生かす理由があるわね。…………なら、どうせならダークエルフも一緒に住ませた方がいいわね。どうせ、まだ行き先はないわよね?」


「……そうですね。暫くは野宿だと思っていたけど、屋根があるなら使わない理由はないね」


「なら、ここの管理はローレイに任せるわ」


「え、私が!?」


 住む場所が出来たことに気が楽になった所にまさかの指示に驚くローレイ。


「そうよ? 貴方はもう私達の仲間なんだから」


「ええっ!?」


「じゃ、任せたわね。あ、連絡方法も考えないとね」


 突然のことに慌てるローレイを他所に考え込むヨミ。ジュン達はそんなヨミに呆れながら、ローレイに同情するのだった。







 ヨミ達が動いている中で、別の場所でも大きな事が起きていた。場所は……始まりの街、アルトの街にある冒険者ギルド。

 冒険者ギルドは様々な職種が仕事を貰える場所であり、人々が生活するには欠かせない大切な建物なのだ。そこに向かう者が2人いたーーーー




「姉さん、ここだよね?」


「えぇ、教祖の話によれば、此処で間違いはないわ」


 同じ顔、同じ格好を身につける少女が2人。違いは鏡合わせたように縛られた髪だけで、髪を解いたなら誰にも見分けが付かないだろう。




「行くわよ!」


「行きましょう!」





ーーあとがき


すいませんが、次回からは3日おきに投稿となります。

宜しくお願いします。


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