第217話 アリの地獄
「ピクト、『配下召喚』よ!!」
一発の挨拶が終わった後は、|配下(アリ)の召喚だ。ピクトのレベルが40になっているので、最下級のアントだけではなく、他の2種類も召喚出来るようになっている。
アント レベル25
キラーアント レベル30
アシッドアント レベル30
それぞれ20体を召喚し、合計60体のモンスターが現れた。
「モンスターを!? 戦える者はすぐ武器を持て! 子供は避難所へ!!」
「うひひひ! 子供でも逃がさないわ。ピクト、広げて隠れ里を囲むように散らばれ!」
「ピギ!」
ピクトはヨミの命令に従い、配下達を散らばせて逃げる者を優先して襲うようにする。
「くそ! 数が多すぎる!!」
「いや! 助けて!」
「な、回り込まれている!? 子供を先に逃がせ!」
隠れ里にいるエルフ達はローレイの話では百人に届くか届かないぐらいの数しかいないらしい。ちょくちょくとレベルが高いエルフがアント達を蹴散らす所もあるが…………
「ジョー、カロナ。レベルが高いエルフは任せるわ」
「はいよ」
「任せて♪ あ、ローレイはどうするの?」
「ローレイはまだ出て来ては駄目よ。貴女の出番は最後だけだから、しばらくはルイスと待っていなさい!!」
ローレイならレベル25以下のエルフには負けないと思うが、万の一を考えて待機して貰うことにした。
レベル30を超えているエルフの処理はジョーとカロナに任せ、ヨミは…………
さて、ここまで暴れたら出てくると思うけどーーーーッ、来た!!
広場がアリの地獄みたいな場所になっている頃、そこへ1つの魔法が撃ち込まれた。
「『エアロ・ショットブレイク』」
精密、正確と言うに相応しい魔法だった。ただ1人もエルフを巻き込むこともなく、群れるアリだけを狙い飛ばしていた。一発一発が中級の威力があり、最下級のアントでは耐えることも出来ず粉砕されていた。
「おっと! 危ないな」
「あは♪ 族長だね。アレは」
「魔法の使い方が上手いわね」
ヨミ達も狙われていたが、出てくるのを察知していたので避けることは難しくなかった。
「ーー我の魔法を避けるか」
上空に浮いている女性がいた。その女性こそが、エルフの族長であり…………
「エルメア様!」
「皆、遠くへ逃げよ。賊は我が片付ける。シルフォード、憑依だ」
エルメアと呼ばれた族長は戦闘状態へ移行し、ヨミ達を睨む。
エルメア(憑依中) レベル60
あれが大精霊かぁ。レベルは60なら私が出るのが確実ね。
「うひひひ、2人は……わかっているわね?」
「あぁ、ちゃんと仕事をするさ」
「頑張ってね♪」
詳しい説明をせずとも、2人は理解してヨミの後ろに下がった。
「貴女は私が相手をするわ。『悪堕ち』!」
「!? その力は……闇の者か」
「さぁね」
エルメアが言った闇の者とは何を指しているかはわからないが、今は気にせずにエルメアに向き合う。精霊使いと戦うのは初めてではないが、大精霊となればどんな戦いになるかはまだわからない。
「行くわ」
ほぼ壊滅なエルフの隠れ里で大きな戦いが始まるのだったーーーー
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