第216話 エルフの隠れ里



 隠れ里へ案内をして貰ったヨミ達。隠れ里への道はテンプレ通り、幻覚によって隠されていた。エルフ、ダークエルフ、ドワーフだけにしかわからない幻覚だったので、ヨミ達だけでは辿り着くことは不可能だっただろう…………


「このまま、真っ直ぐに行けばエルフの隠れ里があります。ドワーフの隠れ里はここから右へ向かえば洞穴が見えてきます」


「了解よ。私達はここで30分は待ってあげる。その間にダークエルフを避難させて来なさい」


 先にローレイが隠れ里へ戻り、ダークエルフ達を説得して避難場所へ送らせる。そして、ローレイと合流して襲撃をすることになる。


「さっき、言ったように30分は待つけど、もし貴女が30分経っても戻らなかったとしても襲撃を止めることはない。その時、隠れ里にダークエルフの姿を見かけたら敵として対処させて貰うわ」


「……わかりました。なんとか説得して、戻ってきます!」


 ローレイは説得する自信があるのか、ヨミの言ったことに文句を言うことはなかった。ローレイだけが隠れ里へ戻り、ヨミ達は隠れ里から離れた場所で時間になるまで待つことにーーーー







「そろそろだけど…………」


「避難は終わりました!」


 そろそろ30分が経った……頃にローレイが戻ってきた。どうやら、説得は成功したようで隠れ里から少し離れた場所にある避難場所へ連れていけたようだ。


「そう。向こうは任せたわよ?」


「えぇ、大丈夫よ。アルバドムも貸してくれたしね」


 メリッサが副ギルド長として、ドワーフの隠れ里を攻めにネル達を引き連れて行く。そして、ヨミ達も同時に動いた。







「ルイスはまだレッドにはなってはいけないから、ローレイと一緒にジョーとカロナに守られていなさい。こっちで何人か生け捕りしておくわ」


「出来れば、生産が得意そうな一般人が望ましいですね」


「鑑定で見分けが出来ればいいけど、ローレイは誰が薬師かわかるかしら?」


「えっと……道具屋の人ならわかるけど、薬師までは……」


 ローレイもそこまではわからない。一応、道具屋の人も薬を扱っていたので捕まえるなら道具屋の人だと思った。


「成る程ね。あとは研究者みたいな人がいたら確保よ」


「族長も知っていそうだね♪」


「いえ、族長は止めとくわ。生け捕りに拘って、こちらの誰かがやられたら困るわ」


 ヨミの予想では、族長であるハイエルフはレベル50以上はあるんじゃないかと考えている。生け捕りに拘って、こちらに被害が出る可能性が高いから、族長は確実に殺しておきたい。






「……へぇ、エルフの隠れ里は木の上にログハウスがあるタイプなのね」


 アルティスの仮面を被ったヨミが先行し、隠れ里へ向かうと…………


「っ、何奴!?」


「うひ、真ん中まで行きたかったけど無理なのね」


 ヨミは風景に溶け込み、隠れ里の中央まで行こうとしたが入り口を抜ける前に見つかってしまう。普通なら視認は出来ないのだが、入り口で警備をしていたエルフは視覚とは違う別の方法でヨミを見つけていた。




「不審者がいるぞ! 鐘を鳴らせ!!」


「わざわざ、鐘を鳴らさなくても開戦は派手に知らせてあげるわ! ピクト、『複合破壊放射』よ!!」


 開戦はド派手に。ピクトを召喚して、中央になっている憩(いこ)うの広場へ放つように命令を下した。




「ピギィィィィィ!!」




 破壊の光線が家族で来ていたエルフ達を消し飛ばそうと放たれたがーーーー


「っ、守れぇぇぇぇぇ!!」


「あら……」


 入り口にいた警備員である4人のエルフ達が身を呈するように光線の前に出て、防御の魔法を発動した。4枚の盾が現れ、1枚ずつ破っていったが…………1枚ごとに角度を調整されていたので少しずつ上へ逸らされていた。




「うひひひ、やるじゃない」




 開戦に放った光線は見事に上へ逸らされて、広場に被害を出すことが出来なかった。エルフは魔法が得意であることをわからされる見事なやり方だった。

 でも、ヨミがこのままで失敗したことにはしない。




「第二波はどうかしら?」


「何を……なっ!?」


 ヨミは前もって準備していた。第二波となる光線がヨミの後ろ、森の中から現れたのだ。この光線は月光魔法の『|月鏡の裁断(ミラー・ムーン・ジャッジメント)』であり、タメがあるのを利用し、時間差の攻撃が出来たのだ。


「ふ、防…………」


 第二波は予想していなかったので、魔法の魔法が間に合わず、警備員は光線に飲み込まれていた。広場にいた慌てて退避しようとするエルフ達も巻き込まれていた。




「さぁ、蹂躙の始まりよ!!」




 開戦で放った攻撃だけで数十人のエルフ達へ被害を出したのだったーーーー





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