第215話 復讐
「……助けてくれてありがとうございます」
「うひひ、警戒するのはいいけど変なことはしないことね」
ダークエルフの少女を助けたヨミ達は待機していたメリッサ達と合流したとこだ。ダークエルフの少女は助けて貰ったが警戒を解いてはいない。警戒されるのはおかしくはない。何せ、ヨミの仲間であるジュン達の名前が真っ赤に染まっていたのを見たからだ。
「自己紹介でもしましょうか。私達は『銀月の使者』で犯罪者のギルドだと思ってもいいわ。ちなみに、私がギルドのリーダーをやっているヨミと言うわ」
「り、リーダー!? ……でも、さっきの強さなら……納得かも」
「さぁ、貴女の名前を聞かせてくれるかしら?」
ジュウガキグモへトドメを刺した時、使った魔法がただの人間が使えるような代物ではないと見破っていた。
そんな人が率いる犯罪者ギルドのリーダーであることを認識しつつ、少女は名乗った。
「私は……ローレイ。エルフの隠れ里に住んでいる」
ローレイと名乗った少女は名乗るだけで終わらず、わざわざエルフの隠れ里に住んでいると言った。それでヨミではない、ギルドメンバーの顔を見た。表情を読み取ろうとしたローレイだったが…………それよりも早くヨミが言葉を発した。
「やっぱり、エルフの隠れ里と関係があったわね。で、場所を教えてくれるかしら?」
「直球!? 少しは隠し立ては……」
隠し立てもしないヨミにメリッサがツッコミを入れるが…………
「必要ないわ。この子はわざわざ口にした。つまり、この子にとってはエルフの隠れ里が大切な場所ではないと言うこと。何か目的があるんでしょ」
「そうなるな。レッドネームが見えている相手に話す訳がないしな」
「ね。目的は聞かないわ。でもね、わかっているよね? 犯罪者ギルドの私達相手にエルフの隠れ里を話題に出したことを」
「……わかっています。やっぱり、狙いはエルフの隠れ里ですね。それでしたら、お願いがあります!」
「お願いねぇ……聞くだけ聞いてみるわ」
エルフの隠れ里まで案内してくれるなら、自分達の目的に関係なければいいかな?
「エルフのことは嫌いなのでどうなっても構いませんが、ダークエルフだけは見逃してくれませんか!?」
ローレイはエルフのことは嫌いだが、同じ種族であるダークエルフは困っている時に助けて貰ったこともあるので、ダークエルフだけは助けたいと思っていた。
「成る程ね。……そうね、ちゃんとエルフの隠れ里まで案内してくれるなら構わないわ。でも、敵対しないように説得はしておきなさい」
「わ、わかりました。何とかします!」
ヨミの目的はエルフが持つ薬剤関係の技術とドワーフの隠れ里にある特殊な鍛冶台である。
「念の為に聞くけど、ドワーフの隠れ里はエルフの隠れ里の内部にあるのかしら?」
「ドワーフですか? 隠れ里の側に洞穴があって、そこに住んでいます」
ローレイはドワーフとはあまり交流がなく、どうでもいい関係でしかなかった。
「これは2つに別れた方が良くないか?」
「片方に集中して、鍛冶台を持って逃げられたら面倒ね。……ローレイ、エルフとドワーフの関係、戦力を教えてくれるかしら?」
まず、情報を手に入れる。ローレイから色々と話を聞き…………
力関係はエルフの方が上。ドワーフは戦えなくはないけど、ネルがいれば余裕かな?
ローレイの話によると、エルフの族長であるハイエルフが1番強く、大精霊を従えている程とか。
「精霊ね、アルベルトも光の精霊がいたけど、大精霊じゃなかったよね?」
「そうだな。大精霊とは言ってなかったな」
ハイエルフと戦うならヨミが戦うのが1番良いが、他のメンバーに戦わせてレベル上げをさせるのもありかと考えていた時だった。
「あ、あの! ハイエルフと戦う時は私も一緒にやらせてください!」
「ローレイ? 多分、足手纏いになると思うけど?」
ジュウガキグモにも着いていけない実力では、エルフの族長相手に戦えるとは思えなかった。
「あの人は……両親の足を撃ち抜き、モンスターから逃げられなくしたの……」
「……成る程ね」
復讐をしたい訳ね。んーー……
「うはははっ、いいじゃねぇか。悔しいことは遣り返してやらんとな!」
「戦わせるよりも、最後にトドメを刺すだけでもいいじゃない? それまでは、私とジョーで守れるよ♪」
「ふむ……まぁいっか。エルフの隠れ里へ攻めるメンバーは私、ローレイ、ジョー、カロナ、ルイスで」
「あとはドワーフの隠れ里だな」
大部分の主力がエルフの隠れ里に寄ってしまうが、アルバドムをメリッサに貸してやれば、問題はないだろう。
「決まりね。まず、ダークエルフ達を避難所とかでもいいから戦場から退かしなさい。それから攻めるわ」
「は、はい。わかりました!」
これで、戦力の分配も終わらせたのでローレイの案内によって、エルフの隠れ里へ向かうのだったーーーー
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