第214話 クモ退治
助けた方が面白い展開になると思って、助けたけどあのクモは…………ちょっと面倒臭いかも。
ジュウガキグモ レベル38
レベルはこちらの方が上だが、ジュウガキグモはヨミが現れたのを見て、すぐ森の景色に溶け込んでしまう。
「カメレオンみたいに姿を消せるのね。それに警戒心が高い」
ジュウガキグモはヨミを見ただけで、すぐ姿を消したことから力の差を理解する知能があるとわかる。このまま逃げてくれるなら楽だが、部下であるオニグモが逃げてないことから退散してない可能性がある。
「…………上!」
ヨミは危険を察知出来るスキルを持っているので、上から攻撃をしてきているのを察知した。上から蜘蛛の糸が撒き散らされ、その糸に紫色の液体が付いていることから毒が塗られているとわかった。
「『夜天月斬』……手応えがないわね」
上から吐き出したと予想し、日傘から隠し刃を抜いて糸ごとジュウガキグモを斬り裂こうとしたが、手応えが糸しかなくて既に退避した後だったとわかる。
動きが速い。もしかして、動き回りながら攻撃している?
「あ、あんた! 誰か知らないけど、私はジュウガキグモのことを知っている! あいつはいつでも弱い所を狙ってくる!」
「弱い所……?」
「そうなんだ! ジュウガキグモはとても狡猾なのよ!」
ダークエルフの少女からジュウガキグモの特性を教えて貰い、さっきの蜘蛛の糸から次が来ない理由を理解した。
「ッ! 向こうに行ったわ!!」
「「「!?」」」
姿を消したジュウガキグモがヨミへ次の攻撃に移らず、逃げてないなら何をするかは…………
1つしかない。オニグモと戦っているジュン達を狙う。
オニグモも狡猾なモンスターであり、自分がすぐやられないように仲間と連携したり、糸や毒を使った絡み手で格上の相手から生き延びている。今回はオニグモには上司であるジュウガキグモがいるので無理に攻めなくていい。
ヨミが予想していた通り、ジュウガキグモはヨミを無視してジュン達へ向かって大量の糸を撒き散らしていた。もし、撒き散らした糸に掛かってしまったら動きを阻害され、毒も受けていただろう。
しかし、ジュン達もヨミと悪の道を行く仲間である。ヨミの声と同時にそれぞれが瞬時に動いていた。
「『ホーリー・レイジサークル』!」
ジュンが聖魔法で状態異常の効果を持つスキル、魔法を5秒間だけ無効にする陣を張り、ジュウガキグモの糸を無効化しーーーー
「『血赦熱輪』!」
「『瞬蓮花』!」
ジュウガキグモの攻撃と同時に突っ込んできたオニグモを対応したのは、当たると燃える血の斬撃を撒き散らすジョーと『瞬動』を使った剣技を魅せるカロナの2人。
2人の攻撃により、オニグモ達は全滅した。一瞬でオニグモが全滅したことにより、ジュウガキグモは恐れを抱いた。
「見・つ・け・た。動揺したのか、姿が薄っすらと浮かんでいたわ。落ちなさい、『爆乱抽斬』」
「!?!?」
ヨミはジュウガキグモを見つけ、背中へ乗り移っていた。そして、隠し刃を刺して…………レベル3になった『武技之型』による新しい|武技(アーツ)を発動した。
ジュウガキグモは刃から体内に斬撃を注入され、斬撃の爆発が起きた。体内へ直接の攻撃を受けたジュウガキグモは耐えられる訳がなく、悲鳴を上げて木の上から落ちていく。
「『乱月光波』」
ヨミは容赦の1つも見せることもなく、落下中のジュウガキグモへ向けて放たれ、残っていたHPは一欠片も残さずに消し飛ばされた。ヨミに抱えられたままのダークエルフの少女は目を大きく見開くのだったーーーー
邪魔者は消えた。さぁ、聞かせて貰おうかね。有益な情報を持っていれば良いけど。
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