第209話 報告会
ギルドホームに帰ったヨミは珍しいモノを見た。
「……メリッサ、アレはどうしたの?」
ヨミが指を指して、メリッサに尋ねた。そこにはヨミの定位置であるソファーに寝転がるネヴィルアの姿があった。
「アレって……誰かと聞いてないけど、負けたらしい」
「負けた……? 捕まっていないことから、プレイヤーかモンスターのどちらか?」
NPCに倒された場合は牢屋に直行だが、プレイヤーがレッドを捕まえて、牢屋にぶちこむことは出来る方法もある。その方法はレッドの自首、レッドを弱らせてあるアイテムを当てることで捕まえること。アイテムを当てるまでHPをレッドゾーンまで調整するのが難しいのでその方法を取るプレイヤーはあまりいない。レッドもプレイヤーなのだから、回復も出来るから。
「ネル、誰に負けたの?」
「……ヨミ? 魔王軍、四天王のネクアロスと言う人」
「魔王軍の四天王!?」
「やっぱりかぁ。私も四天王と戦ってきたわ。正確には四天王が出したモンスターとだけどね」
「……ヨミも? 私もネクアロスが出した人形に負けた。ヨミは勝ったの?」
「ぎりぎりだったけどね」
モンスターに負けたのね。四天王本人はNPCかもしれないけど、モンスターならペナルティは軽くなるわね。いえ、魔王軍だから四天王もモンスター扱いかしら?
NPCみたいな扱いされているが、いつか必ず戦うことになる相手なので負けても牢屋へ入られることはないかもしれないが…………
「とにかく、皆が集まったらこの話をしたいわ。集まるまでは休みましょう」
ギルドメンバーには召集するようにと伝えているが、まだ全員が集まっていないのでそれまではリビングでゆっくりするのだった。
30分後、ようやく全員が集まった所で会議室へ。
「なんだと? 四天王に会った?」
「そうよ。どうやら、このメンバーでは私とネヴィルアだけみたいね」
「強さが基準なら、アルベルトも会っていそうだね♪」
カロナの言葉に皆は頷いて同意する。
「魔王に試してこいと言われたみたいよ」
「それで、実力的にヨミとネヴィルアが選ばれたか。四天王全員が言われているなら、あと2人残っているが……」
「私は来てないわ」
「俺もだな」
ジュンがギルドメンバー達を見るが、2人以外はノーと否定してくる。
「おそらく、アルベルトは選ばれているでしょう。あと1人は想像出来ないわね」
「魔王軍の四天王、どのくらい強かったですか?」
マミからの質問。ヨミとネヴィルアははっきりとした答えが出来なかった。2人共は本人ではなく、四天王のモンスターと戦っていたのだから。
「本人とは戦わなかったからわからないけど……鑑定は全く通じなかった、戦わされたモンスターはレベル80が1体とレベル50が3匹だったわ」
「レベル80!? よく勝てたな……」
「成る程。私達じゃ力不足ね」
「無理ー♪」
「百パーセント負けるが、戦ってはみたかったぜ」
「私が戦った四天王、クロエルナなんだけど『童話魔法(グリモワール)』と言う召喚魔法みたいな効果を使っていて、一番弱い魔法があのレベル80だって」
「……………まだまだ先の相手じゃねぇか。なんで、今頃に出てくるんだよ」
「魔王の命令だったからとしか言えないわね。ネルは?」
「……ネクアロスはドールマスターと言っていた。操っていた人形は5体とも全てレベルが60はあった」
ジュンの言う通り、クロエルナやネクアロスはまだ出会うには早すぎる敵である。
「四天王についてはこれぐらいね。勝ったらご褒美にこれを貰ったわ」
「一千万ゼニと黒い石?」
「大金だな。城で手に入れたのと比べたら少ないがお金はいくらあってもいいし。それにこの石は…………ヨミにしか使えないな」
四天王が出したモンスターに勝った報酬にしては良いか悪いか判断は付かないが、ヨミにとっては有益なモノなので良かったと言えるだろう。
「どちらに使うの?」
「そうね……」
アルバドムは現在では充分に強いし、使うならドルマになるけど……急に進化させて強くなった先に襲われないかが心配よね。
この前は怖がられていたから襲われなかったが、間違いなく襲われたら負けたのはヨミである。その心配もあり、軽々に進化をさせるのは…………
と考えていた先に、ジュンが何かを受け取ったのかウィンドウが開いた。
「む? 誰からだ…………お、次のイベント内容がわかった!? おい、自分でイベントの情報を見てみろよ!」
ジュンからの言葉で自分のウィンドウを開き、イベントについての情報が書かれている所を調べて見ると…………
へぇ、次のイベントは面白そうじゃない。名前が『神々の遊戯』ねぇ…………
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