第208話 桃太郎の全力
3匹のモンスターを倒したが、桃太郎が刀を地面に刺し、何かを吸収していた。恐らく、倒された3匹のモンスターから力を吸い取ったのだと思われる。
鑑定してみたけど、レベルは60のまま。刀は鑑定を弾かれたけど、刀の強化と考えるのが普通よね。
「うひ、『魔陣封頸』……『
「…………」
『桃無輝光』
『
「な、消えた……」
「相性が悪かったね~」
「相性……光を無効化した?」
クロエの言葉から、光関係である魔法を無効化出来るとわかった。つまり、桃太郎相手には月光魔法は効かないと言える。
『爆崩流音』
桃太郎がまた地面に刀を突き刺すと、衝撃波が生まれて地面を破壊しながらヨミへ向かっていく。
ヨミには翼があり、飛べるので避けるのは難しくなかったが…………攻撃はそれで終わらなかった。
『桃重連弾』
飛んだヨミに向けて棍棒を振り回すことで、何もない上空から圧力の塊が降り注いだ。このまま、ヨミへ当たりそうになったがーーー、ヨミは笑みを漏らした。
「待っていたわ! 『
右の片翼に浮かぶ大量の瞳が見えない圧力の塊を真似て、桃太郎の『桃重連弾』を破って、そのまま桃太郎に向かう。
「私の方が威力が高い! それをどう破る?」
「…………」
「これは……無理かな。気にせずに進んで!」
クロエは桃太郎が使える技を持っても、ヨミの攻撃を防げないと判断して、ダメージを覚悟して進めと命令を下した。この行動から、ヨミは桃太郎の限界を悟った。
「うひひ、成る程ね」
「まだだよ。仲間の能力を吸収した刀はこれで終わらないよ」
「…………」
『光熱響斬』
「ッ!?」
桃太郎はただ刀を一振りしただけ。なのに、振り込んだ瞬間に瞬く光が現れ、ヨミの身体を刻んだ。
「ぐっ、危な……」
「え、今ので死なないんだ?」
「……キッカのお陰でね」
キッカが咄嗟にヨミの急所である首と心臓がある所を重複に折り畳んで盾になり、守りきった。HPは半分も削られてしまったが、まだヨミは生きている。
「右足と左の片翼を落とされたけど、刀からさっきまでの脅威を感じないわ」
「あちゃぁ、切り札を使うの早すぎちゃったかな」
足を斬り落とされても、ヨミは飛べるので移動には問題はない。それよりも、桃太郎が持つ刀から3匹の力を吸収する前の状態に戻っているのが見えた。
つまり、あの技は3匹の力を全て使い尽くす技であり、一回しか使えない切り札だったということ。
「なら、今は光を無効化出来なくなっているわよね。『魔陣封頸』……『
ヨミは詠唱を唱え、反動の為か動けなくなっている桃太郎を光の暴力によって呑み込んでいくのだったーーーー
「あー、これは私の負けだね♪」
「あら、戦いはこれで終わりでいいよね?」
「うん、試してこいと言われただけだしね。…………そうだ、勝った報酬をあげるよ!」
クロエは腰に掲げていた小さな袋から報酬を取り出して、渡してきた。渡された報酬は……………
『1000万ゼニ』、『深淵の進化石』
お金と石? 『深淵の進化石』…………はぁっ!?
片方の報酬を鑑定したら、とんでもない代物を渡されたとわかった。その鑑定内容が…………
『深淵の進化石』 SSSランク
テイムモンスターを条件無視して、強制的に進化させることが可能。ただし、悪魔系限定である。
ヤバい代物だった。レベルが条件に達していなくても、この石を使うだけで進化させることが出来るのだ。悪魔系であることが条件であるが…………
これを使えば、ドルマかアルバドムを進化させられるってことよね。
「どう? 気に入ってくれたかな?」
「……えぇ、驚いたわ」
「それなら、良かった! 私は帰るからまたね!!」
クロエは笑顔で手を振って、転移を使ったのか一瞬で姿を消したのだった。
クロエが帰ったことで戦闘の結界が消えた。これで戦いが終わったが、ヨミはこれから中ボスへ挑もうと言う気にはならなかった。
はぁっ、疲れたわ。皆にも伝えないといけないし…………帰るぅ。
ギルドメンバーと情報共有をする必要もあり、ギルドホームへ帰ることにしたヨミであったーーーー
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