第205話 幼女の正体
冷や汗をかきながら圧を感じる方向へ振り向くと、そこには…………
「お久しぶり♪」
この前、アデル王国へ着いた先に出会った幼女。
「……クロエ」
「うん♪ 覚えていてくれて嬉しいよ」
出会った時はこんな圧を感じたことはない。ただの幼女にしか見えなかったのに、今は強者である圧が展開されていた。下手すれば、弱体化されていないアルバドムをも軽く超えている。
一体、何者? あの時は力を隠していた?
「うふふふ、困惑しちゃっているよね。ごめんね、あの時は正体を隠していて」
「……で、教えてくれるのかしら? その正体やらを」
見た目は可愛らしいドレスを着た幼女でしかないが、その圧が普通ではないと言っているようなモノだった。
「うん、最初から教えるつもりだったからいいよ! ヨミお姉ちゃん、私の正体はね、魔王軍で四天王の1人だよ!」
「魔王軍の四天王!?」
まさかの正体だった。クロエが魔王軍で四天王の1人であることは予測していなかった。
「本当の名前はクロエルナと言うけど、ヨミお姉ちゃんはクロエのままでいいよ~」
「……はぁ、それはわかったけど、どうして正体を教えたのかしら?」
「ん~、驚かしたかったのもあるけど、これから戦うから教えないとね!」
戦うと聞いて、警戒心を更に高めてクロエから少し距離を取った。
「あ、安心して。本気で戦うつもりはないし、魔王様から気になるプレイヤーがいるなら試して来いと言われているからね。私だけじゃなくて、四天王全員にね」
「四天王全員に……」
ヨミとクロエが話している今、他の場所でーーーー
「誰だ?」
「我は魔王軍にて、四天王の称号を頂いているソウケン。早速ですが、戦わせて貰う」
アルベルトがソロで探索していた時に現れたのがソウケン。ソウケンは細身の竜人の姿で1本の刀を持って、アルベルトに相対していた。
「四天王だと?」
「すまないが、魔王様からの命令なのだ。少々だけ試させて貰う!」
「……誰?」
「にひっ、俺は魔王軍で四天王をやっているネクアロス。人形の主としての強さを見せて貰うぜ!」
フィールドへ軽く散歩していたネヴィルアだったが、突然に複数の人形に囲まれた。そして、1つの人形が腹が引き裂かれて、ネクアロスと名乗る少年が現れたのだ。
「……貴方も人形使い?」
「にひひひ、少し違うな。ドールマスターだ!!」
もう1人の四天王のことだが…………その者は誰にも会ってもおらず、魔王軍の拠点にいた。その四天王はソファーでゴロゴロしながら資料を読んでいる男性がいた。
その時、念話が届いた。
『ニルヴァーカ。我の命令は聞いていたのか?』
その念話は主である魔王様からだ。
『ん~、そう言われてもなぁ。気になった渡り人の力を見て来いだよな? 面白そうな奴はいたが、既に同僚が行っているんだわ。2人で会いに行ったら可哀想だから遠慮した訳だ』
『……はぁ、他にはいなかったのか?』
『他ね、最近に新しい渡り人が現れたみたいだが、まだまだ成長が足りない。潜在力で面白そうな奴はいるが、そちらは会うのは時期尚早ってことで』
『わかった。今回は免除してやる。だが、命令を聞かないことはお前が最強だからーー』
『わかっているよ。最強だから許されているってことを。同僚にも、そう簡単に最強の座を渡さねえよ』
ここにいるのは、主である魔王様を除いて、魔王軍の中では最強であるニルヴァーカ。
『最強でなくなったら、お前の命は消えることを忘れるな』
『怖い怖い。まぁ、問題はねぇよ』
主である魔王様への口の利き方、命令無視。それが許されているのは、最強の座を持つニルヴァーカだから。
『んじゃ、話は終わりね。俺は仕事を続けているわ』
『ふん』
念話を終わらせたニルヴァーカは仕事をソファーで寝転がりながら続けるのだったーーーー
「これが私の力だよ。『
クロエは1冊の本を呼び出し、戦闘の開始である結界が広がった。
「おいで、『
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