第201話 ジム



 美世はスマホでジムまでの道を確認しつつ、動きやすい服装で向かう。


「ここね。思ったより大きいわね」


 写真で見たが、想像していたよりも広そうなジムだったことに驚く。中に入り、受付で申請をする。書類の書き込みを終わらせ、会員証が出来るまで時間が少し掛かるので、しばらくは自由に見学をしていいことになった。


 ここはバーベルが沢山並んでいるわね。使うことはないと思うけど……


 美世は別に筋肉を付けたい訳でもないので、スルーしようと思ったら、一人の男性がバーベルを上げる所が目に入った。




 うわぁ、その重りを上げられるの!? 腕はそんなに太そうには見えないのに。


 その男性はまだ若く、高校生にも見える。そんな男が何重も大きな重りを付けられたバーベルを軽々に上げていたことに驚愕を隠せないでいた。


 じろじろと見ているのも失礼よね。次に行こう。


 バーベルが並ぶ部屋に長く居る理由もないので、次の部屋に向かった。美世が部屋を出ていく時に、先程にバーベルを上げていた男が美世を見ていた。




 む? なんか、似ていたような気がしたが、気のせいか?


 少々だけ引っ掛かったが、気のせいだと判断してバーベル上げを続けるのだったーーーー








 次はヨガが出来る部屋のようで、客の大半が女性だった。中学生から大人まで幅広く、この部屋を使われているようだ。


 ヨガね、ちょっと興味はあるわね。…………ん?


 ヨガをする前に、隅で準備体操をする女性が2人いて、その声が聞こえた。


「痛い! 痛いぞー!?」


「しっ! 静かにしないと駄目だよ。本当に硬いよねぇ……」


 2人で全身体測定でやるような背中を押して、手と足を伸ばす奴をしており、片方が痛みを訴えていた。


「む! 我は普通だ! そなたが軟らかすぎだけだ!」


「そんなことはないよ~それよりも、またゲームでの呼び方が出てるよ?」


「む! 時々に出てしまうな。周りに知り合いがいる訳でもないし、構わんだろ?」


「もう……」


 どうやら、ゲームでの癖が出てしまう程にやりこんでいる女性もいるようだ。


 ゲームをしていると、身体が固くなるからヨガはやっておいた方がいいわね。


 プール以外でやれそうなのを見つけ、今後の予定を考えながら、次の部屋に向かうのだった。






 色々なトレーニングが出来る部屋も覗き、最後にプールがある場所へ向かった。


「へぇ、とても広いじゃない」


 今は10月だが、温室プールになっているので普通に泳ぐことが出来る。良さそうなジムであることに満足していたら…………




「なー、お嬢ちゃん達よ。一緒に泳がねえか? きっと、楽しいぜ?」




 どう聞いてもナンパとしか思えない声に不愉快になる美世。美世がナンパされている訳でもないが……


「あ、あの……」


「い、いえ! 私達は……」


「いいだろー?」


 2人の少女は困っている様子だった。周りを見るが、ナンパをしている男性がチャラくても鍛えている身体をしているので、周りの人達は関わりたくないと雰囲気を出している様子だった。

 美世は溜息を吐き、困っている少女の元へ向かうのだったーーーー






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