第186話 星魔剣(カリバーン)



 王座の間はアリエッタの自爆により、砂煙が舞い上がっていた。暫くして砂煙が落ち着くと、2つの影がある。


「これで、『リザレクション』は終わりか。勝てそうか?」


「うひひ、問題はないわ」


 『リザレクション』の効果が残っていたヨミとジュンが生き残った。ジョーとカロナは爆発に巻き込まれる前に自殺をしたので一時的のステータス減少と言う軽いペナルティを受けて、ギルドホームへ戻っているだろう。




 ーーー弱体化された悪魔族のアルバドムとの戦闘となります。

 全力を尽くして、アルバドムを討伐せよ。




 アリエッタと戦って倒したと判断されたことにより、アルバドムとの明確な敵対となった。だから、こんなアナウンスが流れたのだろう。

 シンプルにアルバドムを倒すだけなので、わかりやすい。




「2人は減らせたか。次は僕が相手になろう」




 アルバドムを守っていた結界が消え、王座から立ち上がって歩いてくる。


「うひ、『闇堕ち』。私だけでやるから、ジュンは下がっていて」


「はいはい」


「む、1人だけでやるのか? 2人で掛かって来てもいいが?」


 アルバドムはヨミが評価した通り、自信家であり、弱体化しても2人に勝てるつもりでいた。


「いえ、貴方は私1人でやりたいの。ドルマ来い!!」


 『闇堕ち』を発動し、ドルマを召喚した。


「魔物使いか……僕も剣で相手をしてやろう。顕現せよ、『|星魔剣(カリバーン)』」


 アルバドムも剣を使って戦うようで、手に握られたのは夜空みたいに暗く、星のような光が散らばれていて、美しい剣だった。




 ……あれは間違いなく魔剣ね。どんな能力かわからないけど、ドルマと融合すればーーーー




「夜空を呼び寄せ。そして、星降る世界となれ!」


「!?」


 アルバドムが『|星魔剣(カリバーン)』を掲げると、王座の間だった空間が切り替わった。この場所が黒く塗りつぶされたかと思えば、多数の星が輝き始めた。


 ーーそして、隕石が降り注いだ。


「ッ! 『夜天月斬』!」


「俺にも!? 『ホーリーバリア』!」


 無軌道に落ちてくる星、直径30センチ程の隕石がランダムに降り注いできたのだ。自分に向かってくる隕石だけを斬り伏せたヨミは…………




 あの魔剣は、世界そのものを作り出すことが出来るのね!? 既に発動されてしまっているから無効化は出来ないわ。


 ドルマと融合すれば、武器の能力を無効化が出来るけど……それは発動する瞬間を無効化が出来るであって、既に発動されている能力に対しては何も出来ない。


「降り注ぐ隕石を避けながら戦えるか見物だ」


「……剣の保持者には当たらないようになっているのね」


 アルバドムの場所にも隕石は降り注ぐが、透過してダメージを受けてはいないようだ。


「この程度、私の足を止める要因にはなり得ないわ。キッカ!」


「ほう、他にいたか」


 降り注ぐ隕石の対処は防御に特化したキッカに任せた。当たりそうな隕石だけを包みながら受け流すことで、戦闘の邪魔にはさせない。


「『夜天月斬』!」


「暗黒魔法『ダーク・ブラインド』」


 飛ぶ斬擊はアルバドムを斬り裂くこともなく、薄く黒いカーテンみたいのが現れて、受け流されてしまう。だが、ヨミは当たらなくても問題はなかったと言うように、近接で戦える距離まで近付いた。


「はぁっ!」


「ふっ!」


 近接距離からナイフを投げながら、『回収』を使った剣の演舞を見せるが…………


「面白い見世物だ。まさにピエロのようだ」


 ヨミは最初からアルティスの仮面を被っていた。だから、ピエロだと皮肉を言っているのだろう。


 やっぱり、アルティスの仮面に惑されていない。元のレベルが高すぎるのが原因かしら?


 アルティスの仮面の効果が通じてないとわかり、着ける意味がなくなったから外す。もしも、着けたままやられたら無くなってしまうと困るから。


「ほぅ、可愛いお嬢ちゃんだったのか」


「なら、その可愛いお嬢ちゃんにやられてくれないかしら?」


「はははっ、それは出来ないな」


 喋りながらも剣で斬り合うが、お互いは1度も当たっていない。


「暗黒魔法『ヘルバウンド・クラッシュ』」


「『乱月光波』!」


 アリエッタが使った暗黒魔法と同じ、当たれば即死になりえる球が複数も現れて突撃してきたので、ヨミは咄嗟に距離を取り、纏めて消し去った。


「これも防ぐか」


「うひ、今のところは互角みたいね」


 一進一退とお互いが剣と魔法を使うが、まだ傷1つも付けられていない。だが、お互いはまだ本気を見せてはいないので、均衡はいつ崩れても可笑しくはない。




「次は防げるか? 『魔門招来』」




 アルバドムはそう言い、次の手を繰り出すのだったーーーー







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