第185話 凶暴化した悪魔
『凶暴化』、残りの命を燃やし尽くすまで暴れるのを止めない危険な状態だ。
「うがぁぁあああ!!」
「うおっ!? 武器を使わずに殴ってくるか!?」
「結界で床は壊れないようになっているみたいだけど、凄い衝撃だね♪」
「3分……逃げ回るには長すぎる。やるぞ!!」
凶暴化したアリエッタは武器だった鉄扇を投げ捨て、太くなった腕で殴り込んでくる。3分の制限時間はあるが、パワーだけでなく、スピードも高いので逃げ回るのは危険だと判断した。
3方向から攻めることにし、それぞれが技を放つ。
「『血狼呀噛』」
「『瞬突砲』」
「『ラージ・ホーリーレイ』」
アリエッタは3方向の攻撃に対して、理性無きでも本能は生きていたようで咆哮を放ちながら手を上に向けた。
暗黒魔法『ヘルブラック・フレア』
凶暴化しても、魔法を使えたようで上に放たれた黒い巨大な焔が出現し、それが拡散された。中心にいたアリエッタをも巻き込んで、それぞれの技を飲み込んだ。そして、そのままジョー、カロナ、ジュンも飲み込まれようとしていた。
「『ダブル・ホーリーバリア』ぁぁぁ!!」
咄嗟に次の魔法を発動したジュン。その魔法でジョーとカロナはバリアに包まれ、ジュンはそのまま受けていた。
「おい! 大丈夫か!?」
「……ぎりぎり生き残ったみたい♪」
「あ、あぶねー……まぁ、『リザレクション』の効果はまだ残っていたからどちらにしろ、生き残れたさ」
「そ、そうか。無理はするなよ」
まともに喰らったジュンは魔法に対する抵抗力が高い神官だったので、ぎりぎりHPが残った。拡散されていたこともあり、威力も弱まっていたのもあるだろう。
ちなみに、ヨミは最初から距離があって届くことはなかった。
「あは♪ 自傷しているじゃん」
「自分ごとダメージを受ける魔法だった? …………いや、最初に防御の術を準備は出来た筈だ。なら、守ることを考えることは出来なかったか?」
中心にいたアリエッタは前よりボロボロになって、腕1本が更に欠けていた。3人の攻撃を受けるよりはマシかもしれなかったが、ジュンが言うように自分を守る術を使ってから発動すれば良かったのだ。
つまり、凶暴化は攻撃に対しては積極的だが、守りのことは考えられなくなる可能性がある。
「う、うがぁぁあああ!」
「傷だらけでも動きは変わらねぇな!」
「痛みは感じてないか。面倒な敵だ」
「でも、このままなら私達が勝つよ♪」
痛みを感じなく、攻撃も積極的に行う生き物を相手に勝つのは大変だが、先程の攻撃で1人も減らせない時点でアリエッタには勝ち目はない。
だが、アルバドムがこのままで終わらせる訳がなかった。
「凶暴化しても使えん。自爆しろ」
「がぁ? ぐぼぁ?」
「な、ふざけんなぁぁぁ!?」
「やばっ」
アルバドムが命令した瞬間に、アリエッタの身体が膨らみ始めた。自爆となれば、結界内の全域に広がるのは間違いはない。このままでは『リザレクション』の効果を使い果たしているジョーとカロナはやられて、牢屋に送られてしまう。だからーーーー
「2人共! 充分だから……自殺をしなさい!!」
「「わかった(わ)」」
ヨミの言葉が届き、ジョーとカロナは迷うこともなく自らの首を斬り落とした。2人が退場した後、爆発で眩しい光が王座の間を包み込んだのだったーーーー
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます