第180話 リー&ボウvsギルアス 前半
ネヴィルアが玄関口を制圧する前、広めの廊下ではリーとボウがギルアスを討ち取ろうと動いていたが…………
「クソッ、場所が悪い!」
「キツイなぁ……」
2vs1でリーとボウが有利かと思うが、そうでもなかった。レベルは相手の方が高くても連係で倒せると考えていたが…………場所が悪かった。
リーは大鎌を使い、ボウは弓で戦うスタイルなのだが、1本道の廊下では森のように隠れる場所がなくて、長物を振り回すには少し狭かった。それに対して、ギルアスも槍と長物であるが、室内での戦い方を熟練していて不利になるようなことにはならなかった。
「お前らは弱くはないようだが、まだ経験が足りん!」
「こんな場所で戦うなんて、普通はないって……どうする?」
「勝てなければ、撤退はしていいと言っていたが……そうなったら、アイツを抑える奴がいないのはマズイ筈だ」
ヨミ達にはアルデュール陛下との戦いに集中して貰う必要がある。NPCにやられるのは論外だが、このまま好きに動かされてしまうと計画が崩れる可能性もある。
「……なんとか、外へ出せればいいが」
「どうやってだよ。あの槍使いは動きが少ない。先を行かさないようにと足を止めているだろう」
小声で相談をするが、外に出す方法が思い付かない。困っていた2人だったが…………
突然、下から大きな音が響いたかと思えば、床が崩れたのだ。
「な、何が!?」
ギルアスは突然に床が崩れたことに驚いていたが、2人は漏れ出た光の色から推測が出来ていた。
((あの子がやったんだな!?))
大きな音と床が崩れた原因は、ネヴィルアが『|透熱陽光(サンシャイン)』を発動し、その破壊に巻き込まれたからだ。
「これはチャンスが来たな! 『幻魔結界』!」
リーの第二職業、《幻幽士》である職業から手に入れた結界が発動された。《幻幽士》は闇魔法と幻覚魔法を得意としており、『幻魔結界』はわかりやすい効果になっている。
「森が広がっただと……? 幻覚か!」
「そうだ」
結界内、半径25メートルに広がった空間を幻覚で満たす。リーは周りが森へなるように幻覚を見せている。
2階にいた3人は床を破壊されて、1階へ落ちている。そこはネヴィルアが破壊された空間になっており、結構の広さが出来ている。
「ッ、もう1人は!?」
「教えるかよ」
この場にいるのはリーとギルアスだけ。さっきの破壊に紛れて、先へ進まれたと思い、上を見上げるが幻覚で作られた森の葉に青空しか見えない。
たまたま、その動作がギルアスを助けることになった。何故なら、ギルアスの上空から十数本の矢が降り注いでいたのだから。
「ッ! うおおおぉぉ! 『剛転乱波』!!」
槍を凄い勢いで回転し、降り注いだ矢を弾いた。
「運が良いな!? 闇魔法『ダーク・ランス』」
「ぐぅ!」
技を使っている途中に、リーが魔法を放った。ギルアスは咄嗟に回避しようとしたが、少し遅れて右足を僅かに削られてしまう。
「ぐ、もう1人は隠れているのだな!」
「卑怯だと言わないでくれよ? 勝つためなんだから」
そう、ボウはリーが『幻魔結界』を発動した瞬間に、森の中に身を隠していた。リーの結界はボウにとっては相性が良い効果だったので、一緒に組むことが多い。
「そうか……。俺は近衛騎士として、本気でお前達をここで討ち果たせてやろう!」
「やってみろ!」
リーはこれから隠れているボウからサポートを受け、正面からギルアスと向き合うのだったーーーー
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