第179話 ネヴィルアvsヤムクル 後半
ヤムクルは『魔黒装召喚』でなんとかルクディオス殿下を戦闘不能にすることが出来たが、『逆転結界』を発動され、更に新たな人形が増えたことで戦況は不利のままだ。
「なんだ、この結界は……」
「……行け」
どんな結界かわからないまま、召喚された5体の人形に襲い掛かられてしまう。しかし、ヤムクルは様々な武器を持った戦士の人形達の攻撃をなんとか凌いでいた。
「ぐぎぃ! 剣が重くなっているのか!?」
「……驚いた。結界内であれだけ動けるとは」
ルクディオス殿下の時は装備を解除することで、逆転による負担から逃れたがヤムクルは違う。装備を身に着け、剣も握ったままで人形達の攻撃を受け流し続けて防いでいた。
人形は大会で見せたような特殊な人形ではないが、レベル30と同等の動きが出来る高性能を持った人形なのだ。それとヤムクルはなんとか戦えている。
「……素の実力が思ったより高いのね。まさかと思うけど、ルクディオスよりも強かった?」
「っ、強くなかったら! 近衛騎士に誘われなかったさ!」
ネヴィルアはまだ倒れてくれないヤムクルにどうしようかと悩んでいた。陽光魔法で人形ごと撃ち抜こうかと思ったらーーーー
「ようやく、隙を見せてくれたな!!」
「えっ? ……しまっ!?」
なんと、ヤムクルは先程まで防御に徹していたのに、ネヴィルアが数秒だけ考え事をした瞬間に持っていた剣を投げてきたのだ。そのせいで、手に持っていたアダルメンを吹き飛ばされてしまう。
そして、人形が動かなくなって……ヤムクルは新しい剣を取り出して突撃してきた。
「死ね!」
「あっ!」
ヤムクルの突撃は速いと言えないが、後衛であるネヴィルアには対応することが出来ず、胸を貫かれた。ネヴィルアから力が抜けて手がだらんと下がる。
「よし! これで…………は?」
急所を貫いたヤムクルは違和感を感じていた。貫いた感触が人間のと違っていた。まるで生き物ではない物を貫いたような…………
「ここで『身代わり』を消耗するとは思わなかった。油断しすぎたね」
「なっ!?」
なんと、ヤムクルが見ている前方の10メートル先に無事な姿のネヴィルアが現れたのだ。さっきまではいなかったのに。
「何……私が貫いたのはーー人形!?」
そう、ヤムクルが貫いたのは、ネヴィルアに似せた人形である。この人形は新たに手に入れたスキルで、『身代わり』はHPが0になる攻撃を防いでくれる。1日に1回しか使えず、発動するとHPが半分まで減らされた状態となる。
「……もう油断はしない。陽光魔法『|透熱陽光(サンシャイン)』」
もう温存とか考えるの止めたネヴィルアは周りの被害を気にせずに魔法を放った。
ネヴィルアの『透熱陽光』は射線にいた兵士も騎士も人形ごと、ヤムクルを消し去ったのだったーーーー
「……勝ったけど、被害が酷い。人形も無駄にしちゃったな」
ネヴィルアは勝利したが、予想以上に手持ちの人形が減ってしまって、嬉しいよりも悲しいが|勝(まさ)ったのだったーーーー
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます