第181話 リー&ボウvsギルアス 後半



 リーの結界により、形勢は少しだけ有利になった。




 そう、|少し(・・)だけだ。




「ーー『聖気強化』!」


「んな! まだパワーアップするかよ!?」


「聖騎士の強みは強化にある。それを使わないでどうする?」


「クソッ、正論を言うなよ……」


 ギルアスはここまで1vs2で戦いながら、自分自身を強化するスキルを使っていた。既に3つの強化スキルを発動しており、身体能力が上がっている。


 ボウが幻覚の森に紛れて死角から攻撃を続けているのだが、最初は反応が遅れて刺さることがあっても……強化スキルを発動していく内に、当たらなくなっていた。

 リーは頑張っていたが、今はぎりぎり致命傷を避けることに集中していて、反撃が出来なくなっていた。


「もうすぐでお前は片付けられそうだ。死ねば、この森は消えるだろう?」


「うはは、やっぱり正面から勝つのは無理だな」


「諦めたか? ならーーーー」


 トドメを刺そうとしたが、リーの眼を見て嫌な予感がしたギルアスは咄嗟に距離を取ろうとしたが…………足が上手く動かなかった。いや、動かせはするが震え始めたのだ。


「何……?」


「ようやく効いてきたか」


「まさか! 『ヒーーー」


 ギルアスはすぐ原因がわかり、魔法を発動しようとした。

 その原因は…………毒。ボウが放った矢には強力な毒が塗られていた。聖騎士は状態異常にも強いので少ししか効果がなかったが、リーはそれだけでも充分だった。


「やらせるかよ!!」


 リーは魔法の詠唱を終わらせる前に大鎌を振り上げて、右手を斬り落とした。




「ぃ、リーング』!!」


「何ぃ、唱えきりやがった!?」


 右手を斬り落とされようが、詠唱を唱えきって、体内の毒を排除したギルアスに驚愕するリー。


「うおおおぉぉ!」


「や、べっ……」


「やらせてたまるか!」


 左手だけで槍を握り、大鎌を振り上げたばかりで体勢が整っていないリーに向けて突き刺そうとした。その時、ボウが森から現れて、脇腹にナイフを身体ごとで突進して刺したお陰で、槍は狙われた心臓からずれて肩へ向かった。


「ヴがぁぁぁあ!!」


「ぐぎぁ!?」


「ふがっ!?」


 ギルアスは脇腹にナイフを刺されようが、左手の力だけで槍を振り回してリーをボウごと吹き飛ばしていた。


「ごふっ! ……『ひ、ヒール』」


「まだ死なねぇのかよ!?」


「……これは無理だな」


 まだこれだけ動けるなら、止血だけした状態のギルアスは負傷したリーと姿を現しているボウを片付けるぐらいは出来るだろう。




「流石だよ。出来れば、俺達で倒したかったが……すまん。トドメを頼む!!」




 リーはそう叫び、『幻魔結界』を解除した。結界が消え、元の破壊された王城内の景色へ戻ると…………




「……お疲れ様。あとは任せて。『|透熱陽光(サンシャイン)』」


「な、何ぃぃぃぃーーーー!!」



 手を向けるネヴィルアの姿があった。魔法が発動され、止血しただけのギルアスは回避をすることが出来ず、光の放流に巻き込まれた。




 これで、リーとボウは情けなくともネヴィルアの手を借りて、ギルアスを倒すことに成功するのだったーーーー





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