第176話 王座の間へ
「なぁ、この展開はおかしくないか?」
アルデュール陛下がいる場所まで走っていたヨミ達だったが、ジュンは違和感を感じていた。その言葉に同意するように、皆も頷く。
「わかっていたわよ。人が少なすぎるモノ」
「執事やメイドがいないのは、玄関口にいた奴の言葉から想像出来たが、騎士がアレだけとか予想はしてなかったな」
「邪魔をするなら、もっといてもおかしくはないけどね♪」
アルデュール陛下は自分等が来ることは予測していた筈だ。しかし、玄関口に近衛騎士1人と騎士50人、途中で近衛騎士が1人で待ち構えていただけ。
「王を守るなら、もっといてもおかしくはないがな……」
「もしかしたら、王座の間で沢山の騎士が待ち構えていたり♪」
「それか、既に王は脱出済みとか」
ヨミも皆が言ったようなことも考えたが…………それをするような王だと思えなかった。アルデュール陛下についての情報を集めたが、性格から考えると待ち構えていた騎士や近衛騎士を置いて逃げるようには思えなかったし、王座の間で大量の騎士が待ち構えている……
いえ、それはないわね。あの男は自信家(・・・)だわ。それに、私の予想が合っていれば…………
「着くぞ!!」
王座の間前に着くと、ジュンが大きな扉を蹴り飛ばした。扉が開いた先にはーーーー
「野蛮な開け方をしなくとも、僕は迎え入れるつもりだったよ」
そこには、アルデュール陛下が王座に座り、その隣で立つ近衛騎士の女性が1人いた。
「…………なんだこりゃ? これが王なのか?」
「……あは、ヤバい♪」
「うははは、リーダーの言う通りになったな」
ヨミ以外の3人はアルデュール陛下から溢れ出る気配に冷や汗をかいていた。そして、リーダーであるヨミは…………
「…………うひ、うひひひひひ!!」
笑っていた。そして、とんでもない言葉が飛び出した。
「面白い展開を見せてくれるわね! アルデューー……いえ、封印されていた悪魔族の|アルバドム(・・・・・)と呼んだ方がいいかしら?」
「…………ふっ」
ヨミはアルデュールと呼ばず、アルバドムと言った。更に封印されていた悪魔族とーーーー
ーーーー隠しクエスト、『王の正体』が発生しました。
貴方は王の正体を見破った。その正体は封印されていた悪魔族、アルバドムであった。さぁ、どうするか!?
貴方の答えを見せよ!!
こちらのクエストを受理する意思を確認せずに、強制受理された。そして、王座の間が結界に囲まれ、ここにいる4人で相対することになったのだった。
「あは、勝利条件が書いてないけど♪」
「さぁな、自分で考えろってことだ」
「交渉もありか。しかし、逃走は無理そうだな。どうする?」
ジュンがそう聞いてくるけど、ヨミの答えは決まっていた。
「うひひひっ、聞かなくてもわかるでしょ。殺るか殺られるかのどちらかしかないわ!」
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