第167話 結界の力
後ろに控えていたカロナ、ルクディオス殿下が戦いに加わる。
「あは♪ どれだけ戦えるか知らないけど、レベルが高いだけなら私を殺せないよ? 王様より弱いと聞いているし、簡単に殺れちゃうかな♪」
「貴様、騎士団長のことを知らずに舐めてくれるな!?」
「構わん。好きなだけ言わせておけ。それよりも、あの男を頼むぞ」
ジョーを相手にしていた騎士の一人がカロナの挑発に言い返すが、ルクディオス本人は気にしてはいなかった。
「アルデュールよりも弱い騎士団長だが、アデル王国の平和を侵そうとするお前らを止められない程には弱くはないつもりだ」
「なら、楽しませてくれるかしらね!?」
先に動いたのはカロナ。十八番である『瞬動』でルクディオス殿下の背後へ回り込むが、瞬時に反応して振り返っていた。
反応されるのは予測していたカロナは驚くこともなく、次の手を繰り出していた。
「ほぉれ♪」
「ッ、薬品か!」
ルイスと同じ職業の《薬師》であるカロナも自作の劇薬を持っている。その薬品が振り撒かれると、液体が地面に触れた瞬間に鋭く尖った結晶へなって他者へ襲い掛かる。
このまま、ルクディオス殿下へ突き刺すかと思われたが…………
「少々、驚いたが遅い!」
「あらら~、あれだけの棘(とげ)を斬り裂く? 名だけの騎士団長じゃないみたいね♪」
「大剣では素早く動けないと思ったか? 『閃光突刃』!」
大剣による突き刺し攻撃だが、そのスピードが普通ではなかった。そのスピードにカロナは反応出来ても、完全に避けることが出来ず、左腕を斬り飛ばされてしまう。
「いっ、痛いな~」
「首を狙ったのだが、避けたか。ただの渡り人ではないな」
「あはっ、流石にレベル10以上も離れていたら、普通に戦っても勝てないね♪ なら、切り札だよ♪」
カロナは斬り落とされた左腕を治す希少な薬、部位欠陥治療薬を持っているが……使わない。このピンチをチャンスに変える切り札があるからだ。
「No.4! 結界を使うわ!」
「了解だ」
カロナが使うと言った結界、近衛騎士の『聖域結界』やジョーが使った『赤血結界』のように様々な効果を持つ特殊なスキルである。特殊と言っても、ある条件を達すれば誰にも使えるようになるスキルなのだ。
その条件は職業にあり、レベル30になれば1つの職業が進化することを覚えてはいるだろうか? その進化した職業から手に入る結界の効果が違ってくる。例えば、近衛騎士の場合は職業が《聖騎士》であり、その職業が使える結界は『聖域結界』になる。
勿論、職業が進化した瞬間に手に入る訳でもない。進化した後に、1つの条件をクリアした瞬間に結界のスキルが手に入るのだ。
それで、カロナも既にレベル30で職業を進化し終わっている。進化させた職業は《薬師》ではなく、もう1つの《剣士》であり、その職業を《凶悪解体者》へ進化させている。その職業は『解体』を持ち、レッドネームであることでその選択が出てくる。《凶悪解体者》になると、『解体』の効果が変化する。
元の効果は……
解体
このスキルを持ち、モンスターを倒すとドロップ品が少々の確率で増える。
と、普通に誰もが持っているスキルだが、《凶悪解体者》へ進化するとーーーー
解体
このスキルを持ち、モンスターを倒すとドロップ品が少々の確率で増える。人間を倒した場合は、所持品から少々の確率で奪える。
と言うように、人間も対象となる効果が増えている。増えるスキルは『解体』だけではなく、他にもあるが結界には関係ないので話を戻すが…………結界のスキルを手に入れるには、その『解体』をメインスキルに装備した状態で10人以上の人間を殺す必要がある。
「さぁ、見せてあげる♪」
カロナは10人どころか、プレイヤーも合わせると50人以上は殺している。だから、結界のスキルは既に手に入れてある。
「『凶痛結界』!!」
カロナを中心に暗く青い光を放つ陣が広がるのだったーーーー
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます