第163話 王家の構図




「という訳で、アルベルトと協力して中ボスを倒してきたわ」


「へぇ、あのアルベルトが負けた中ボスを一緒にねぇ♪」


 ヨミはアルベルトと中ボスを倒した後、すぐ別れてギルドホームへ帰っていた。そして、ある1通のメールを契機に会議室へメンバー全員が集まっていた。




「私の話より、聞くことがあるから続きは後ね。で、マミとメルナ。集まったのね?」

「はい! 面白い話も聞けました!」

「それから、王家の構図もゲットしてきたわ」

「なら、説明をお願い」


 メルナが立ち上がり、説明を始める。2人は商人に扮(ふん)して人脈を作り上げることで、情報を集めていた。

 情報は同じ商人、客、兵士等から集めており…………


「王家の構図としては、現在の王はまだ14歳と若くてその両親は既に他界しているのこと。あとは第一王子である18歳の兄がいますが、その人物は騎士団長になっていて、王の継承権は現在の王、第二王子に譲渡している形です」

「ん、普通は第一王子がなるんじゃねぇの?」

「話に聞くには……第二王子は歴代の中でも天才と呼ばれているようです。名はアルデュール、剣の腕は騎士団長の第一王子よりも高く、魔法も群を抜いている。兵士の一部では化物と呼ばれているようです」

「あー、兄より強しの弟って訳か」

「普通の兄弟なら傲慢で御し易いが……ここはゲームだから……」

「そう。ジュンの言う通り、アルデュール王はゲームのキャラらしく、完璧に近いらしいよ」

「ふぅん……」


 高い力を持ったただのバカなら簡単に落とせるが、王にはなれない。王らしく、カリスマや頭脳等の何かを持った人物なのは想像出来る。

 何せ、第一王子が王を諦めて騎士団長になるぐらいだ。


「ねぇ、兄弟の仲はどうなの??」

「悪くはないみたい。なんか、第一王子は自分の弟に忠誠を誓っていて、王の継承権を放棄した時も文句1つも漏らさずに跪いたとか」

「それほどなの……兄弟の仲を引き裂くのは難しそうね」


 メリッサは兄弟の仲が悪ければ、そこを突けると考えていたが、当てが外れて眉を潜めた。


「ヨミちゃんー、どうするの?」


 ヨミに何か考えがあるか、聞こうとするメリッサだったが、1本指を口に添えるヨミ。




「まだよ。メルナ、話は終わっていないよね?」

「えぇ、王家へ直接に手を出せない場合は……ですね? 勿論、調べました」

「え、まだ何かあるの?」


 メルナはヨミの聞きたいことを理解しており、笑みを浮かべていた。

 手に入れた情報は王家の関係だけではない。本人へ手を加えるのが難しい場合ならーーーー




「周り……貴族達の情勢も手に入れています」




 そう、王家からが難しいなら……その下である|貴族(・・)から崩せばいい。








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