第156話 ヒーローvs悪
ドルマ、キッカ、ピクトを召喚し、装備はせずにそれぞれが自由に戦えるようにし、ヨミは手抜きを止めてアルティスの仮面を被った。
「ここからは容赦しないわ」
「ッ! ピンク!」
レッドがピンクの名を呼ぶと、何処からか声が上がり……レッドに赤い光が注がれた。
「強化魔法かしら?」
「火遁、爆炎豪球!」
レッドの狙いは……ピクト。まず、的がデカいピクトの排除と考えたようだが…………
「『強酸液』で消してやりなさい」
「ピギィィィ!」
最初の火遁よりも巨大な球がピクトに向かうが、火には液体で対応させるように『強酸液』を使わせた。液体だが、強酸と爆発する火球が当たればどうなるかーーーー
ヨミはその結果を予測していたので、ピクトの尻尾を踏み台にして上空へ逃れていた。強酸と火球は……衝突した瞬間に爆発を起こして、強酸が森へ降り注いだ。
「ぐっ! あいつ、知ってて上へ!?」
「それだけじゃない……見つけたわ!!」
上空へ逃げたのは、被害を受けない為だけじゃなくて……上から他のヒーローを見つける為にだ。ヨミが真っ先に消したいと思っていたヒーローはーーーー
「まず、ピンクを消す!」
「狙いは私!?」
木の上に隠れていたピンクにロックオンしたヨミ。ピンクは色からサポート、回復のタイプだと推測し、先に消しておかないと考えていた。
「上空に逃げたのは失策だったな! 足場がないなら避けられないだろ! 火遁、爆炎豪球!」
「水遁、水刃流斬!」
「木遁、螺旋樹針!」
「雷遁、電磁光線!」
ピンク以外のヒーロー達は上空にいるヨミに向けて忍術を放っていた。普通なら避けられず当たる所だが、ヨミは考えもなしに上空へ逃げた訳でもない。
「足場(・・)? うひ、あるわよ!」
ヨミは空中を蹴り、落ちるより速いスピードで忍術の隙間を通り抜けた。イベントでは見せることはなかったが……足の装備には二段ジャンプを可能にする、空中を1度だけ蹴ることが出来る効果を持っている。
攻撃を避けたヨミが向かう先にはーーーーピンクがいた。
「きゃっーーがっ!?」
「まず、1人」
隠し刃でピンクを貫き、首を斬り落とした。高いところから落ちたダメージはあるが、木の上にいたので衝撃が少し軽減されていたので体力はまだ半分ぐらい残っていた。
「よくも、ピンクを!」
「あはっ、私ばかりに注目していいのかしらーー」
「がはっ!?」
「ブルー!?」
ヨミばかりへ注目していたばかりに、ブルーは背後からドルマに貫かれていた。
「ブルー! 今ーーな、真っ暗、見えねえぇぇぇ!!」
「あ、キッカは攻撃技がなかったわね。ピクト、グリーンをやっちゃって」
キッカがグリーンの目を塞ぐように巻き付いた為、視界を封じられて何も出来ないままにピクトの鎌で斬り裂かれた。
あとはレッドとイエローだけだがーーーー
「て……撤退ぃぃぃ!!」
「は?」
レッドはまさかの逃亡を選択したのだった。まだ生き残っているイエローに向けて叫んだ後、森の中へ逃げていった。
「ヒーローが真っ先に逃げていいのかしら……まぁ、逃がさないけどね。新しい魔法で消してあげる」
《レッド視点》
はぁはぁっ! まさか、ここまで強いとは!
レッドは森の中を掻き分けて逃げている時、さっきの戦いを思い出していた。最初は間違いなくこちらが押していた。だが、テイムモンスターを出された瞬間に逆転されてしまった。
ヒーロー達の強みは様々な技と連携にある。しかし、仲間が倒れてしまうと連携が崩れて単調になってしまう欠点があった。レッド達も欠点を理解しているが、それぞれのプレイヤースキルはそんなに高くはないからそう簡単に解決は出来なかった。
だから、ヒーローは1人も倒れてはならない。1人でもやられたら連携が崩れるなら……1人でも倒れなければいい。
そういう戦いを考察していたが……サポートの要であるピンクをあんな方法で居場所を見つけて普通ではないやり方で攻撃されては、真っ先に対応することは出来なかった。
ヒーローの連携が崩れた今、前もって決めていたプランを発動した。
1人でもやられたら撤退しろ。
ピンクがやられた後にすぐ、撤退すべきだったがヨミの行動が早くてブルーとグリーンまでもやられてしまった。
「く、イエローは逃げ切れ………は?」
距離は充分に取れたと判断して、後ろを向いたら……光に包まれて身体を塵にされて消し去られた。
「ふむ、多分当たったかしら?」
確証はないが、レッドが向かった方向へある魔法を放ったから当たっている筈だ。
飛距離が桁外れよね。その分、MPが結構喰われるけど。
ヨミが使ったのは、月光魔法LV2で使えるようになった『|月鏡の裁断(ミラー・ムーン・ジャッジメント)』。効果はシンプルで、直径5メートルはある鏡を浮かし、方向を決めた際に月の光を溜める。そして…………撃つだけ。MPの8割も使うだけあって、馬鹿げた威力の光線が桁外れの飛距離を真っ直ぐに飛んでいく。
真っ直ぐにしか飛ばないから避けられやすいけど、逃げている敵には効果的だったわね。
この魔法は強力だが、欠点が色々とあって使う場面が限られてしまうのだ。
「で、あと貴女だけよ。続ける?」
「いえ、降参するわ」
レッドとは反対側の方向から現れたのは両手を上げるイエロー。戦いが終わったなら、あとは話をするだけーーーー
ーーあとがき
新しい小説を載せました!
良かったら読みに来て下さい。
『最強で最凶な兄妹転生』
https://kakuyomu.jp/works/16817330666841507391
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