第153話 新武器と防具
「まぁ、解放するつもりはないけどね」
「はぁ? どういうことかわからんが……」
ヨミは皆にアドル王国の地下に封印された強力なモンスターがいると教えた。だが、ヨミはそのモンスターを解放するつもりはないと言った。
「そりゃ、王国を作ってまでも封印されたモンスターを監視なんて、ただのモンスターじゃないのはわかるよね?」
「それはわかるが……」
「もし、私達が解放に動いて……成功したらワールドクエストになって、プレイヤー達が討伐に動く可能性もあり得るじゃない」
「あ、それだと俺達の企みに邪魔が入るな」
「成る程♪ 殆どのプレイヤーがダンジョンへ夢中になっているのに、自分からプレイヤー達を集めるようなことになっちゃうね♪」
そう、王国程の大きな組織が監視の為に動いている封印されたモンスターがただのモンスターではあり得ない。おそらく、レイド級以上のモンスターになるだろう。
そんなモンスターを解放すれば、ワールドクエストとして世界中にいるプレイヤー達に伝えられて、自分から集める結果となってしまう。だから、モンスターは解放しない。
「解放はしないけど、この情報は使えるわ。例えば…………脅しとかね」
「む? もしかして、王族にか?」
「私が考えている相手は…………いえ、まだ情報が全て集まっていないから、話すのは後にするわ」
「はぁ、ヨミちゃんがそう言うならいいけど……隠したかった情報はそれだけ?」
「いえ、それだけじゃないわ。ジュンとカロナが使った隠された通路もそうね」
教会を襲った時に使った隠された通路もその歴史書に書かれたものだ。司教も歴史書を王国に渡して、調べてもらうつもりだったが、その前にジュンとカロナに始末を頼んだから、この情報を知っているのはヨミだけ。
「取り敢えず、私からの話はこれだけね。他の人は何かあるかしら?」
「あー、こっちはダンジョンにいるプレイヤーを襲い続けているが、やはり警戒心が高えわ」
「余程の隙がないとやれなかったり……元4位が頑張っているみたいだった」
「ハイドですね。僕も時々は接近していますが、面白い情報はないですね」
「ふぅん、今はこのままで進めても大丈夫そうね。後は人脈作りの2人は…………あら?」
マミとメルナのことを話に出したら、全員がメールの通知を受け取った所だった。
「……あら、マミとメルナからだわ」
「お、出来たみたいだな! 武器と防具が! 添付されているぞ」
ジュンの言う通り、届いたメールには武器と防具が添付されていた。中身を見ると……マミからは『純潔の日傘』、メルナからは『ゴスロリのカチューシャ』と『白銀のゴスロリ服』が入っていた。
白いゴスロリ服に日傘って……ゴスロリ服はいいけど、日傘が武器なの?
武器と使うとなれば、鈍器なのかと思っていたが、詳細を確認したら……
純潔の日傘 ATK+70(隠し刃) レア度:B
耐久力:200/200
この日傘は熱に強く、水を弾く性質を持っている。ただし、傘の部分は柔らかく、衝撃や斬擊に弱い。持っ手の部分を回すことで隠し刃を引き抜けるように作られている。
成る程。傘部分が火と水を防ぐ盾で、隠し刃が武器なのね。
使い方を理解し、『白銀のゴスロリ服』と『ゴスロリのカチューシャ』も確認したが、特別な能力はなく、今着ている服よりは性能が高くなっているだけのようだ。
装備するのボタンを押し、着替えてみると…………
「あら、似合っているじゃない」
「いいなー♪ 私もそういう服を着てみたいな♪」
「うはははっ、悪のリーダーっぽさが全く無いな!」
「それは元からではないか?」
ヨミの容姿から悪のリーダーという感じはなかったが、今回の服で更に…………
「構わないわ。見た目で権威を見せている訳じゃないし、力を見せれば黙らせれるでしょ?」
「ヨミは前からそうだったよなぁ」
「思ったより動きやすいわね」
ゴスロリは動きにくいイメージがあったが、ゲーム内だからなのかそんな感じは受けなかった。
「……よし、もう話すことはなさそうだから解散でいいかしら? 隠し刃の試し斬りをしてみたいし」
「…………問題はないみたいだな。また、何かあったら集合な」
「「「「「了解」」」」」
それぞれの仲間も貰った武器と防具を試したいようで、解散に異議はなかった。ヨミは試し斬りの為にギルドホームを出て、深き森がある方向へ向かうのだったーーーー
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