第146話 夜の図書館
「司教様から聞きました。貴女方がクエストを受けて頂いたと……」
空が暗くなり、図書館が閉まる時間になった時にヨミとハーミンは司教から聞いた司書との待ち合わせ場所に向かうと、既に司書が待っていた。
「えぇ、悪いけど一緒に来てくれるかしら?」
「は、はい。その代わり、私は戦えないのでもしもの時は守ってね?」
「……あ、クエストに護衛の1行が加えられた。この筋で合っているかも」
ハーミンは1人で図書館を調べた時は何も起きなかったが、夜に司書と一緒になっただけでクエストの進行に何かが起きたことで可能性が出てきた。
「もしもの時はハーミンが守って。私が前に出るわ」
「……了解」
「で、どの辺りに何か感じる?」
「え、ええと……前は」
図書館の奥へ指を指したので、ヨミが前に出て歩いていく。夜の図書館は不気味な雰囲気はあるが、ここはゲームでアンデッドが出てくる世界とわかっているから恐怖はなく、すたすたと歩いていく。
「あの辺りです……ひっ!」
図書館の奥へ近付くと司書が顔に恐怖を浮かべ始めた。
「……何か感じた?」
「わからないわ。でも、何かあるのは確実ね」
神官と一緒にいた時は何も感じなかったと聞いていたが、今は司書の顔が青くなる程に恐怖を感じている。つまり、何かがあるのは間違いない。問題はどうやって原因を突き止めるかだ。
「何か感じた場所へ指を指してくれる?」
「……下?」
司書が指を指した先は本棚や壁でもなく……下の廊下だった。
「もしかして、地下があるの?」
「そ、そこまではわかりません……神官様にも伝えて、光魔法を使って貰いましたが何も起きませんでした」
「……何かギミックでもあるかな?」
「うーん、図書館の地図はないかしら?」
「し、司書室にありますが……」
「司書室ね、行ける?」
「だ、大丈夫です。離れていれば、何も感じなくなりますから」
離れていれば大丈夫ね、動き回る敵でもないってことかぁ。なら、危ない物が隠されているかな?
司書室は入口の近くにあり、戻ることになった。奥から離れたからか司書の顔色が戻ってきたように見える。
「……地図を見て、どうするの?」
「間取りに怪しいとこがないか調べたくてね。場合によっては廊下を破壊しないと入れないかも」
「……カーペットを退かせば入口があるかな?」
「それはないでしょうね。掃除とかでカーペットを退かすこともあるし、そこでわかっちゃうでしょ。そこはどうなのかしら?」
「はい、調べてみましたが何もありませんでした」
やはり、既に調べ終わっているようね。なら、壊して入るか隠されたギミックを見つけるしかないかな?
司書室にあった図書館の地図、間取りが書かれているのを見せて貰った。
「……特に怪しいと思うとこがない」
「そうね、地下もなさそう。…………一応、聞いておきたいけど図書館はいつ出来たの?」
「え、えっと……アドル王国が建国されてから200年後ですね。今からだと大体100年前になります」
「……アドル王国って、歴史が長い国だったんだ」
「ふむ、可能性としては図書館が出来る前に、作られた地下があった……」
「え、それは……考えたことはありませんでした。待ってください!」
司書は歴史の本がある本棚へ向かい、何かを探し始めた。ヨミ達は本が読めないので、護衛の為に近くで警戒をするか軽い手伝いをするのだった…………
「あ、ありました!」
ようやく、目的の本を見つけ出して読み始める司書。そして、図書館の地下に何が作られていたのかわかった。それはーーーー
「下水道…………下水道です! 今は使われていない下水道が残っているそうです!!」
図書館の下、そこには昔に使われていた下水道があり、今は封鎖されているが残っているそうだ。そこに何かがある。ヨミとハーミンは目を合わせて頷くのだったーーーー
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