第132話 第3回イベント 決着
『魔融魂合』で悪魔みたいな姿になったヨミ。ただ、色が刃と同じ銀色で神聖な輝きも感じられる。
魔物なので、神聖な力はないが特殊な力は現れていた。
「うひ! 『夜天月斬』!」
爪の方を振り抜き、スキルを使うと5つの黒い刃が現れて、アルベルトを襲う。
「魔力を伴う攻撃は反射するとーーーーッ!?」
「あら、運が良いわね?」
アルベルトは身体で受けても反射する特性を持っていたが、たまたま剣を掲げて受けていた。そのお陰で黒い刃は身体に当たらずーーーー剣を弾くだけで留まった。
「何ぃ……?」
「うひひひ、『等倍速度』」
何故か反射出来なかったことに疑問を浮かべたアルベルトだが、ヨミは待ってあげないでスピードを上げて突撃した。
今度は大きな刀になっている右手がアルベルトを襲う。先程のことがあり、警戒心が高まったアルベルトは受けずに回避に徹する。しかし、ヨミは刀で仕留めると考えてはなかった。
「うひ、あははははは!!」
「ぐぅ!?」
叫んだ。その叫びは攻撃であり、『呪怨咆哮』を真正面から受けてしまったアルベルトはダメージを受けて、聴覚を殺されてしまう。
「く、また!」
「ふふふ、何故、反射出来ないか不思議? まぁ、聞こえてはないけどーー」
「『聖光治』!」
「あら、回復魔法を持っていたのね」
ヨミ相手に聴覚が使えなくなるのは不味いと思い、2つ目の職業である聖騎士が使えるスキルで聴覚を取り戻し、少しだけ回復した。
「『乱舞光演』!」
「光の嵐! でも、私も負けてないわよ。『乱月光波』!」
ランダムに放たれる光の光線に対して、魔法で対抗する。
「あはははは!!」
「もう2度と食らうか!」
「耳を塞いで伏せた体勢から避けられるかしら!? 『乱月光波』!!」
アルベルトは『呪怨咆哮』を最低限のダメージに抑える為に伏せたが、それはヨミを前にしては隙になる。案の定範囲が広くて強力な魔法がアルベルトを襲う。
普通なら、『聖火装輪』に頼った反射を選択していたが、何故か反射出来なくなっている。だから…………
「多少のダメージは覚悟する! 『光突覇撃』!」
「真っ直ぐに!?」
魔法を食らいながらも、剣の突進で突き破る。魔法を突き破った先にはヨミがいる。そのまま、心臓へ向かうがーーーー
「させる訳がないよ!」
「こいつ!」
ヨミの手駒がまだいたことにアルベルトはこの選択が間違いだと気付いた。現に、アルベルトの剣はヨミの手足に巻かれていたキッカが反らして、左手をかすっただけで終わった。
「『夜天月斬』!!」
「『光ーー』ぃが!?」
刀での『夜天月斬』は爪のよりも巨大でアルベルトを切り裂きながら吹き飛ばした。『聖火装輪』の強化があったので体力は半分は残せたが、左手は吹き飛ばされた。このままでは出血の状態異常で体力が減っていく。
出血を止めるには薬を使う必要はあるが、この大会では禁止されている。なので、短期決戦で勝つしかなくなった。
「強いな。だが、勝つのは俺だ! 『聖龍雷火』!」
「うひひひ、勝つのは私だ! 『黒月牙突』!」
お互いが使えるスキルで1番威力が高いのを選択し、ぶつかり合う。雷と火を纏う光の龍と最高峰の威力と速度を持つ突きの衝撃がぶつかり合うーーーー
だが、アルベルトはそれを決戦にすることもなく、切り札である『聖龍雷火』を囮にした。やはり、1番信じられるのは自分自身。
アルベルトが取った最後の一撃はーーーー
「ここだぁぁぁぁぁ!!」
「ッ!?」
シンプルな突進から突き。スキルの突進ではなく、全開の身体能力を使った突きであり…………キッカがヨミを守ろうと動くが速すぎて通り抜けさせてしまう。
「ぐぅ!」
「反応はしたか! だが、終わりだぁぁぁぁ!!」
ヨミは咄嗟に左手を盾にして心臓を守ったが、数秒もしない内に貫いて心臓へ届いてしまうだろう。
「私は1人じゃないわよ」
「何を言ってーーーえっ?」
腕に力が入らなくなり、咄嗟に視線を腕に向けると…………斬り落とされていた。
「見ている余裕はないわよ?」
「ごふぁ!? い、し、しっぽ!?」
アルベルトの言う通り、剣を突きだしていた腕を切り落としたのは、ドルマの意思を持った刃の尻尾だった。
今、腕を切り落としたドルマはそのまま、アルベルトの胸を貫いていた。
「い、意思があったのか……」
「終わりよ。『夜天月斬』」
「あはは、負けたのか。俺は……」
ドルマに貫かれたままのアルベルトは避けることも出来ず、黒い刃によって体力バーを消し飛ばされた。消し飛ばされる瞬間、アルベルトの顔に笑みが浮かんでいた。
悔しい気持ちはあるが、表情に出たのは楽しかったという感情だった。
『あ、『アルベルト』が破れました! 決勝戦への切符を得たのは『仮面ちゃん』……もとい、『ヨミ』ですーーーー!!』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます