第130話 第3回イベント 光の剣
アルベルトがクラウ・ソラスを持ち、ヨミに向ける。クラウ・ソラスは特殊な作りをした剣に光の精霊が無ければ、生まれることはなかった。
「行くぞ」
「来なさい。私とドルマで打ち破ってあげるわ!!」
光の剣、闇の剣と言える武器が交わる。
「『夜天月斬』!」
「『天輪斬』!」
飛ぶ黒の刃と白の刃がぶつかり合い……対消滅した瞬間にお互いが正面から跳び出して、剣を振るい合う。
「うひひ、このままでは初心者の長剣とと変わらないわよ?」
「……そう思うか? なら、節穴だな」
「む?」
しばらく斬り合いが続くと……ヨミは異常に気付く。ドルマに『魔喰纏い』と『虚脱弱』を使い、相手の魔力を奪って強化に武器の耐久力を大幅に削るスキルが発動しているのに……何故か、アルベルトのクラウ・ソラスには異常が見当たらず、反対にドルマが衰弱していた。
「ギ……ゲッ……」
「何が……ッ!」
「気付いたか。もう遅いが」
ドルマの状態に気付いたヨミはこれ以上は打ち合ってはいけないと思い、距離を取ろうとしたがアルベルトが見逃す訳がない。
「チッ、『乱月光波』!」
「それは悪手だ」
魔法で突き放そうとしたが、アルベルトは下がることもせずに真っ直ぐへ突っ込んできた。この動きでこの場面を凌げるなら、アルベルトの狙いは…………
「まさ……ッ」
「……ほぅ」
ヨミは咄嗟に魔法を無理矢理に下へ反らして、アルベルトへ当たらないようにした。地面を破壊されて、アルベルトは走り出していた足を止めていた。
「気付くか。思ったより頭が良いんだな」
「その言い方だと、間違っていなかったわね。その剣、魔力での攻撃を反射出来るのね」
それなら、ドルマが衰弱していた理由もわかる。自分のスキルによって耐久力を大幅に減らされていたからだ。
「当たりだ。スキルを纏い、打ち合えばそちらが先に壊れていただろうな」
「全く……面倒な剣よね」
それが、クラウ・ソラスの能力であり、聖剣の名に恥じない能力持ちだ。
「勿論、それだけじゃない。『聖火装輪』」
「ッ、その力は!」
ヨミはその力を見たことがあった。アルベルトがスキルを発動したら、頭の上に光の輪が浮き、身体には光る炎を纏っていた。少し違う所もあるが、大ボスのヴァルキリーの魔法を打ち消す輪っかに似ていた。
「これで、更に強くなり……魔力を伴う攻撃は身体の何処に当たっても反射する」
「…………」
「流石にこのスキルを使うとデメリットもあるが、そこまで詳しく教えてやる義理はないか」
「…………」
「どうした? まさか、戦意喪失し……」
「……うひ、うひひひひ!」
「してないみたいだな」
スキルを多用するヨミに絶望な状況なのだが、笑っていた。自棄な笑いではなく、楽しいという感情から生まれた笑みだった。それがわかったアルベルトも嬉しそうに笑っていた。
「まだ何か手があるのだな? なら、見せてみせろ!」
「うひひ、少し時間は必要だけど……まぁ、やらせて貰うわ」
ヨミはそう言い、左手を上空へ向けて……『乱月光波』を放った。その魔法は上空へ向かい、観客を守るように張ってあったドーム状のバリアに当たって霧散した。
「…………?」
「うひ、この切り札には少々代償が必要なの。さぁ、暴れて頂戴よーーーー
『…………え? な、街でモンスターが暴れているぅぅぅ!?』……ちゃんと伝わったわね」
司会者のクイナが何か連絡を受けたのか、慌てるように外の状況を話し始めた。
『ま、マリーナの街で巨大なモンスターが暴れているようです! 観客の中にいる戦える者は討伐しに向かって頂けると!』
「「「「何ぃ!?」」」」
観客もクイナの言葉に驚く中、アルベルトだけは落ち着いたまま、ヨミを睨んでいた。
「まさか……」
「うひ、そのまさかよ」
《メリッサ視点》
「……無事に暴れてくれているわね。さっさと離れないと巻き込まれそうだわ」
メリッサの手には割れた水晶があった。目の前には…………街で暴れまわるモンスター、ピクトがいた。
もう、ここまでやるなら死んでも勝ちなさいよ?
ーーあとがき
ストックが少なくなってきたので、明日からは朝7時に2話だけになります。
すいませんが、宜しくお願いします!
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