第121話 第3回イベント トーナメント戦



 トーナメント戦への参加権を得た仮面ちゃんは待機部屋へ送られ…………そこには既に勝ち残ったプレイヤーが1人いた。


「へぇ、早いのね。アルベルト?」


 待機部屋にいたのは、アルベルトだった。眼を瞑って壁に寄り掛かっていたアルベルトは仮面ちゃんの声に答える。


「やはり、勝ち残ったか」

「つまらなそうな顔をしているけど、第1位様には余裕過ぎたのかしら?」

「あぁ、どいつも相手にはならん」


 あら? 嫌味のつもりだったけど、本心でつまらなそうに言うわね。


 アルベルトのことがわからなかった。β時代では、勇者や英雄とか呼ばれていたみたいだけど、今のアルベルトからはそういう雰囲気を感じない。


 まぁ、あの第4位みたいにつまらないことしか言わない男じゃないだけマシかな。戦いになれば、わかることね。


 これ以上は話を続けることはなく、お互いは黙って他の勝者達を待つのだった。しばらく待つと、一人一人と転移してくる。


「お、ジュン。勝ち残ったのね」

「あぁ……あと3つのグループがまだみたいだな」


 ここにいるのは5人。ジョーとカロナが勝ち残る可能性はまだある…………が、仮面ちゃんは厳しいだろうと考えていた。


 レッドに対する敵意が高かったし、私みたいに幸運な事が起きない限りは生き残れなさそうよね……


 勿論、仮面ちゃんならルダンのことがなくたって、生き残れる自信はあった。しかし、ジョーとカロナの実力だと50人以上のプレイヤーを相手にして生き残れるとは思えなかった。









「駄目だったみたいだな」

「そうね。仕方がないわ」


 ようやく3人の勝者が決まったが、その中にはジョーとカロナの姿がなかった。仮面ちゃんが知っている顔では、アルベルト、ジュン、ダン、テイトクの4人だった。

 後は初めて見るプレイヤーでキリッとしたクールなメイド、黒い神官服を着ていて不気味な人形を抱えた女性、時代を間違えて生まれたと思われる蛮族の男性だった。

 この場に8人集まり、しばらくすると、また転移される。転移された先は最初にいた会場だった。


『バトル・ロワイアル、お疲れだったな。この場にいる8人こそが、トーナメント戦の参加権を得た強者だ』


 目の前に映された画面には、先程にルールを説明した男性がいた。そして、画面が切り替わる。


『このクジでトーナメント戦の対戦相手が決まる。ランダムに決まるが不満は受け付けない。いいな?』


 男性が言うクジはバラエティーで見る、丸くて大きいガラスに数字が書かれた玉がばらばらに動いていた。そして、2つある出口から2個の玉が出てくる。




『出て来た玉には……7番と3番! 1回戦目は『仮面ちゃん』と『メイドですが、何か?』の対戦となります!』


 あら、いきなり1回戦目からね……って、『メイドですが、何か?』が名前なのかしら?


 仮面ちゃんの試合が決まり、次の対戦局が発表されるが……驚きの組み合わせになった。


『2回戦目は6番、2番! 『テイトク』と『アルベルト』の対戦になります!』


「っし!」

「…………」


 テイトクが小さくガッツポーズをする中でアルベルトは何も反応を起こさない。相変わらずつまらなそうな眼で画面を見続けるのだった。

 テイトクはリベンジをしたいのもあり、転移された時からずっとアルベルトを睨んでいた。それが最初の対戦がアルベルトと決まったから笑みを浮かべ、ガッツポーズをしたのだろう。




 1回戦で勝てば、どちらかが相手になるわね。どういう結果になるか楽しみだわね…………あ、2番ってカロナはアルベルトにやられたのね。


 カロナは弱くない。なのに、仮面ちゃんよりも早くバトル・ロワイアルで勝ち上がった。

 それほどにアルベルトの強さが第1位の称号に恥じないとわかる。


 3回戦目にジュンの名が呼ばれたが、仮面ちゃんの思考は既に1回戦目しか考えてなかったーーーー






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