第122話 第3回イベント メイド
トーナメント戦の組み合わせが決まり、1回戦目のプレイヤーだけがまた転移される。次の会場は周りに観客が入っており、舞台となる戦場はバトル・ロワイアルみたいな障害物は設置されていない。
仮面ちゃんとメイドですが、何か? が向き合う形になっていた。
「メイドでいいかな?」
「はい、メイドですが、何か?」
「…………まぁ、勝手にメイドと呼ばせて貰うわよ。で、貴女は私を楽しませてくれるかな?」
「メイドには出来ないことはありません。貴女を楽しませた上で勝たせて貰います」
「うひっ、いいねぇ……」
『初めまして! 私が司会と解説をさせて頂く、クイナと言いますね!』
まだ試合開始の合図が出て来ないので、メイドですが、何か? のことを少しでも情報を得ようとしたが、途中で司会と解説をする女性のアナウンスが流れた。短い会話しか出来なかったが、メイドは勝気で来ているとわかっただけでも充分だ。
私はちょっと有名になりすぎたから怯むかと思ったけど、胆はあるわね。
『1試合目はレッドの中でも1番有名な方と言っても良いでしょう仮面ちゃんと、クールに仕事をこなして、ミスもしないプロのメイドですが、何か? が準決勝を賭けた戦いになります!』
観客のボルテージも上がり、お互いが武器を構える。仮面ちゃんはまず初心者ナイフを両手に持ち……メイドは銀のナイフを両手に構えていた。
『おおっ! 既に両者はやる気だ! では…………スタートぉぉぉぉぉ!!』
「ふっ!」
「はっ!」
両者同時にナイフが投げられ、相殺していく。動いて距離を保ちながら、ナイフを取り出して…………
「うひ! 貴女も『回収』するのね!」
「素晴らしい。正確でミスもしない……」
十秒程はナイフの撃ち合いが続いたが、これ以上は続けても無駄だと判断したのかメイドはナイフを投げるのを止めて、代わりに銀の皿を投げ始めた。
「こういう時は避けてもブーメランみたいに戻ってくるのが定番よね! ドルマ!!」
仮面ちゃんもナイフを投げるのを止めて、ドルマを召喚して皿を叩き落としていく。
「やはり、投げるだけでは駄目ならーー」
今度は銀の長剣を持ち、突っ込んできた。仮面ちゃんも受けて立つようにドルマを振るう。銀の長剣は耐久力がそれほどに高くはないのは聞いていた。このまま、長剣で受けたら破壊されることになる。そして、そのままメイドは斬られて終わりになるが…………
「『気功拳』」
「!?」
銀の長剣は突撃してくる途中で投げてきて、それを咄嗟にドルマで弾いた時に懐へ入られて……腹に拳を受けた。攻撃を食らった仮面ちゃんは吹き飛ぶことになったが……吹き飛ばした本人は何か眉を潜める表情を浮かべていた。
「手応えが浅い?」
「うひっ、驚いたけど距離を読み間違えたわね」
吹き飛ばされた…………ではなく、自分から後ろへ跳んでいた仮面ちゃんはほぼ無傷だった。距離を読み間違えたのは、アルティスの仮面のお陰だ。更に、咄嗟に自分から後ろへ跳んだから攻撃はかすっただけの判定となったわけだ。
「私は相手を惑わす。だから、直撃はしなかったわ」
「……感覚のズレを理解し、調整する必要があるようですね」
「ふふっ、貴女の職業はメイドと格闘家ね。しかも、現実で何か格闘技をやっているでしょ?」
あっさりと長剣を捨て、剣を持っている相手に対して自信を持って拳を打ち込み、構えも様(さま)になっていることから判断していた。
「奇襲が通じないのであれば、正道で行きましょう」
「いいね、楽しいわ。私も少し手札を見せてあげるわ! ドルマ、解放!」
ドルマを本来の姿に戻し、拳を出して構えるメイドと向き合うーーーー
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます