第119話 第3回イベント ルール説明



 会場内へ転移されたプレイヤー達の目の前、大きな画面に1人の男性が映り、全員の視線が集まる。




『やぁ、イベントに参加するプレイヤー達よ。私は運営の1人だ。まぁ、私の素性などには興味はないだろうし、さっさと進めさせて貰うよ』




 映り込んだ金髪でメガネを掛けた男性は無駄話は好きではないようで、イベントのルール説明が始まった。


 まず、8つのグループに分かれてバトル・ロワイアルをして貰う。生き残った1人がトーナメント戦に参加する権利を得ることが出来る。

 バトル・ロワイアル、トーナメント戦で負けたプレイヤーにはデスペナも無く、スキルや装備で発生する戦闘後のデメリットも無効となる。


『つまり、デメリット等は気にせずにいつでも全力で戦える訳だ。反則に関することだが……チート等になるが、それは我らのゲームでは絶対に有り得ないがな』


 運営の男性はこのゲームについては自信があるようで、チート等の機能やツールは絶対に使えないと言及する。




 ふぅん、それなら負けてもアルティスの仮面は消えないのね。……それに、あるスキルも好きなように使えそうだわ。まぁ、切り札だからそうそうは使わないけど。


 スキルや装備で発生する戦闘後のデメリットがないなら、アルティスの仮面を装備したままでも戦いに集中出来そうだ。もしもの時は自死でわざと負けるつもりだったが、その必要はなくなった。


『ルールは簡単に説明したが、詳細はメールで送信されるから確認しておくように。あと、グループ分けもランダムで決められ、メールで発表される。試合が始まるのは10分後だ。それまでは各自の自由になるが時間になったらグループごとに別会場へ転移してもらう』


 2つのメールが届き、確認すると説明通りに詳細なルール説明とグループ分けになる番号が書かれていた。


「私は7番ね」

「俺は1番だ」

「2番♪」

「被らなかったな。5番だ」


 ヨミ達は上手いように番号が重なることはなかった。ルール説明に書いてあったが、参加しているプレイヤーは全員で672名。8つのグループに分けると、84名もいることになる。


「1万人もいるのに、それっぽちか」

「時間がない人、生産ばかりしている人、戦いに自信がない人を抜いての数だろう。ここにいる奴らは戦闘に自信がある人だからな」

「あは♪ どう戦うか考えておかないとね♪」

「俺も油断は出来ないな。だが、楽しむ事だけは忘れられないな」


 ジョーとカロナは多人数相手に戦ったことはいくらでもあるが、80人以上となれば1人で戦うのは厳しいだろう。レッドでも一時的に組んでくれる人がいれば話は違うが。


「まぁ、やれるだけやってみるか」

「あは♪ 楽しめれば勝ち負けはどうでもいいけど、やるなら勝ちたいよね♪」

「トーナメント戦でレッドが何人か入ったら他の奴らは悔しがるだろうな」

「うひひ、悔しがる顔は見てみたいわね。やれるだけやって、勝ち上がりなさいよ」







『時間だ。これから送るぞ』


 10分経ち、グループごとに転移される。ヨミが転移されたのは岩場が広がる会場だった。見えているプレイヤーはこちらを見つけ、睨みながら武器を握っていた。

 どうやら、レッドは先に潰せと通達されているようだ。犯人は……わかっている。ほぼ、ハイド連中だろう。




「うひっ、面白いイベントになるといいわね。ドルマ!!」




 ヨミは笑みを浮かべ、ドルマをカナタムの状態で呼び出す。そして、目に見えている敵へ突っ込むのだったーーーー






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