第114話 恐怖のアイテム



「あ? 冒険者ギルドの依頼を受けるって……」

「そうよ、オーガがボスでゴブリンが多数もいる村を潰しに行くわよ」


 ヨミは第2のボスを倒したメリッサ達と合流し、これからの方針を説明している。


「なんで、冒険者ギルドの依頼を受ける必要があるんだ? お金には困ってないし、俺達がギルドポイントを貯めてもな……」

「私はギルドポイントを貯めて、冒険者ギルドの信頼も欲しい所だけど、重要なのはそこじゃないわ。私達の拠点はどうするのよ」

「ギルドホームは……あ、入口を作らないと駄目か」


 ようやく、ジュンは気付いた。ギルドホームに帰るには第2の街へ戻る必要がある。しかし、転移が出来る装置が街の中にあり、犯罪者であるレッドは街の中にはそう簡単に入ることが出来ない。


「ここでももう1つの入口を作らないと駄目だから……そこで、モンスターの村か」

「えぇ、皆でさっさと全滅させて、入口を設置するわよ」

「冒険者ギルドで依頼を受けるのは、場所を聞く為でもあるわね」


 メリッサもギルドで依頼を受ける理由を理解し、ヨミとルイスにパーティ申請をしていく。


「という訳で、皆は待っていて」

「おう」


 ヨミ、メリッサ、ルイスは冒険者ギルドへ向かうことに。ちなみに、メルナとマミはまだ街の散策を続けており、入口を設置したら呼ぶつもりだ。








「着いたわ」

「おぉ、結構多いな。戦闘が出来る奴らの全員で来て良かったな。これは」

「あは♪ 狩り放題だね♪」


 街から2つの山を越えた先には大きな村があった。山を背後に構え、入口辺りは柵で囲んでいた。遠くから確認したが、人影が結構多く、200体ぐらいはいるじゃないかと思える。


「さて、村にいるボスはオーガだったな? ヨミがやるか?」

「うーん、やりたい人がいるなら譲ってもいいけど」

「なら、俺に譲ってくれ。もうすぐでレベル30になりそうなんだよな」


 ボスとやりたいと名乗ったのは、ジョーだ。レベル30に達しているのはヨミ、ジュンだけで他はレベル25ぐらいがほとんどだ。


「私が最初に攻撃していい?」

「アレを使うんだな。言っておくが、使っていいのは最初だけだからな?」


 メリッサのファーストアタック、使う物は勿論、ダークマターαだと思っていたらーーーー


「実は、ダークマターβが出来たんだよね」

「ダークマターβ!? 見せてみろ! またバグっているとかないよな!?」

「ちゃんと、GMに連絡したわよ!」

「またバグったのかよ!? どうやったら出来るんだよ!」

「これはじっくりと煮込んだのが良かったと思うわ」


 ヨミは見たことがあった。あの時、リビングで鍋から黒い煙が出ていても煮込み続けていた所を……。

 出して見せてくれたダークマターβは黒色だったダークマターαと違い、真っ白だった。


「これがダークマターβ? 禍々しい感じがしないけど……」

「嫌な感じはピンピンと感じるぜ……」

「うわぁ♪ これは食らいたくないね……」


 先に鑑定したカロナが青ざめていた。ヨミもダークマターβを鑑定すると…………



 ダークマターβ レア度:A

 投げられた範囲内に存在する生き物に500ダメージを与え、盲目、沈黙、嘔吐、脱力の状態異常を与える。(範囲は半径20メートル)



「うわ、確かに食らいたくないわ。これだけの状態異常を受けちゃうと何も出来なくなるじゃない?」

「立つことも出来なくなるかもしれません」


 どれも受けたことはない状態異常だが、何も出来ないまま座り込むのは想像出来る効果だ。


「ま、まぁ、気を付けて使えば大丈夫じゃないかな」

「本当に頼むよ……巻き込まれたら堪らないからな!?」

「わかっているわよ!」


 最初の試みになるようで、村で沢山集まっている場所まで届く所へ向かった後、勢い良く投げられたダークマターβ。


「えいっ!」

「あ、ゴブリンに当たっ……うおっ、眩しっ!?」

「離れていたら状態異常は受けないけど、光で眩しくなるわね」


 範囲内にいたゴブリン達は全員が膝を突き、苦しんでいた。ダメージも受けており、虫の息になっていた。

 助けにいくゴブリンもいたが、2投目になるダークマターαを手にするメリッサがいた。


「んー、えいっ!!」

「うげっ、無慈悲だな。更に毒に麻痺を与え……あ、死んだか」


 苦しんでいるゴブリン達に毒や麻痺を与える前に、固定ダメージである500ダメージでトドメが刺される結果になっていた。

 これで数を減らせたが、メリッサ以外はゴブリン達を可哀想な目で見るのだった。


「楽にしてあげましょ……」

「お、おう、そうだな。行くぞ!!」


 全員が村に向かい、掃討するために武器を握るのだったーーーー





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