第112話 手分け



 ヨミ達は第2の大ボスである武装乙女ヴァルキリーを倒し、第3のフィールドに立っていた。


「ヨミ……いや、何も聞かない方がいいか?」

「そうしてくれると助かるわ。だって……説明が面倒だもの」

「おいっ!?」

「冗談よ」


 ジュンが聞きたがっていることは、先程のヴァルキリーにトドメを刺した時のことだろう。ただ、切り札の1つなので、仲間達にも説明する気はまだなかった。



 ーー『悪堕ち』、前にルファス男爵からの依頼で手に入れたスキルの1つだ。その効果は…………




『悪堕ち』【レッドのプレイヤー専用】

 種族が魔人となり、HP、ATK、INT、AGIが大幅に強化される。NPCを殺すことで疑似魂を手に入れ、溜め込むことが可能になる。スキル発動は現実時間の1日に1回まで。

 発動中に死亡した場合はデスペナが2倍になる。

 発動中、『等倍筋力(ビルドアップ)』、『等倍速度(アクセレータ)』が使用可能になる。(メインかサブのどちらかに空きが必要になる)


取得条件1:レッドであること。

取得条件2:NPCを5人以上は殺していること。



『等倍筋力(ビルドアップ)』 消費量:倍の数値(3)

 疑似魂を消費し、ATKを5秒間は倍増することが出来る。



『等倍速度(アクセレータ)』 消費量:倍の数値(3)

 疑似魂を消費し、AGIを5秒間は倍増することが出来る。



 これが、『悪堕ち』の効果で、NPCを殺したら疑似魂と言う、エネルギー源を手に入れることが出来る。その疑似魂を使うことで強力な2つのスキルが使えるようになる。消費量に倍の数値(3)と出ているが、それは3倍までは使えると言う意味である。

 4つのステータスが高まるだけではなく、5秒間といえ3倍も上がるスキルを使えるようになると考えれば、デメリットが厳しいのは納得出来る。


 レッドだけでもデスペナが酷いのに、発動中にやられたら2倍とか……ゲームを引退するきっかけになりそうよね。


 ヨミはデスペナを受けても引退するつもりはないが、周りと大分後れを取ってしまうだろう。


「なぁ、俺はもう1つのパーティに加わるつもりだ。双子の時ならあいつらでも勝てるが、ヴァルキリーの方は厳しいだろうしな」

「僕も行こうか?」

「いや、パーティは6人までだろ?」

「あ、ジュンが入ったら6人ピッタリになるか」


 向こうは既に5人は組んでいるので、リーは手伝うことが出来ない。


「だから、お前達は街かフィールドの探索でもしていてくれ」

「わかったわ。じゃ、パーティを解散するわね」


 ここからは手分けでそれぞれがやることを進めることになった。ヨミ、メルナ、マミは街へ向かい、リーはメルナとマミに頼まれ、近くの森で採集をすることに。


「じゃ、行きましょうか」

「どんな街か楽しみね」

「楽しみです!」


 しばらく歩くと、街の姿が見えるようになった。その街には…………




「あら、王城が見えるわね」




 街の中央には、他の街になかった立派な王城が建っていたのだったーーーー





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