第109話 第2の大ボス その4
武装乙女ヴァルキリー レベル40
双子が融合し、幅広い面での有名なキャラクターと知られているヴァルキリーになった。普通なら戦乙女だが、目の前にいるヴァルキリーは武装乙女となっている。
「大ボスよね……」
「何の条件が出る!?」
ヨミとジュンは中ボスとも戦っているので、同じ展開になるのは読めた。ヴァルキリーの体力バーに鎖が巻かれていた。条件を達しない限り、無敵状態になっているのだ。
まだ動けないので、融合した武装乙女ヴァルキリーを観察してみた。双子だった少女が成長した姿で美人と言えるレベル。
「む、武器を持っていないな?」
「武装と付いている所から素手で戦うのは考えられないけど……」
何故か、ヴァルキリーの手には何も持っていなかった。観察を続けていたら、突如にヴァルキリーの背中に翼が現れた。そして、アナウンスが流れる。
『武装乙女ヴァルキリーは無敵状態になりました。無敵状態を解く条件はこれから現れる10体の神兵を倒し、それから武装をチャージし続ける武装乙女ヴァルキリーに攻撃を加えることだ』
空中に浮いた武装乙女ヴァルキリーを守るように10体の神兵と言うモンスターが現れた。ヴァルキリーと同じように翼で浮いて、剣と盾を持つ天使みたいなのが5体、地上でメイスと大盾を持つ重装備をした騎士みたいのが5体。
「あ、アレを!」
「武器を創造している? まさか、武装のチャージって複数の武器を作り出すってこと!?」
「嫌な予感がするんだか……武器が増えるごとに強くなるってことにならないよな?」
「……多分、そうなると思うわ。さっさと神兵を倒すわよ! ピクトも暴れなさい!」
「ピギィ!」
話をしている間に、最初の武器が完成した。輝く片手剣、次は盾を作り出そうとしているが、作成をするスピードは少し落ちてきている。
1本目は最初だから速かったけど、次々と作っていくごとに作成するスピードは落ちてくるみたいね。それでも、早く倒した方がいいわね。
何せ、武装乙女ヴァルキリーのレベルが40なのだから、1本目の時点でも自分達よりも強いかもしれないのだ。わかりやすい強さを示す数字は出てないが、武器を増やすのを止めるのが条件になっているなら、増えるごとに強くなるのはあり得る。
「っと、騎士みたいな奴は動きが遅いが、力はあるぞ」
「天使は動きは良いけど力はなさそうだわ。レベルで言うなら20ぐらいじゃないかな」
両方の美点と欠点は見た目通りで、数が多いから倒すのは時間が掛かるが実力でやられることはない。
「早く倒した方がいいから、一気に月光魔法で片付けるわ」
「頼む!」
レベル20ぐらいの強さなら、月光魔法の『乱月光波』で一撃だ。扇状の範囲魔法なので、上手くやれば全てを1回の魔法で片付けることが出来る。
ジュンが下がり、位置を調整して…………
「今! 『乱月光波』ーー……あれ?」
「ヨミ!?」
何故か、魔法が発動しなかった。慌てて下がりながら、自分のMPを確認したが、まだ7割ぐらいは残っている。
「何故、発動しない?」
「ヨミちゃん! ヴァルキリーの頭に天輪が浮かんでいます!!」
マミの言葉にヴァルキリーを見ると、確かにさっきまでなかった天輪が頭の上に浮かんでいた。それから考えられることは…………
「まさか、それが魔法を使えないフィールドにしている?」
「げ、光魔法も使えねぇ! 回復も駄目だ!」
「名に出ている武装は自分だけではなく、相手にも強制するのね……」
「あー! 面倒臭いところは第1にいた大ボスと同じだな!?」
第1のボスは幾つかのスキルを封印されたし、第2のボスは魔法を禁止させる事で相手に制限を掛ける箇所が似ていた。
あー、下手すれば負けるわね。場合によってはアレを使うしかないわね…………
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