第108話 第2の大ボス その3
ピクトが防御特化のヴァリにHPを半分も削られたこと、ヨミは戦いの場面を見ていなかったから何が起こったかはわからない。
だから、後ろに下がっていた3人の誰かが見ている筈なので聞きに行った。
「何が起きたか見た!?」
「すまない、僕はそちらを見ていた」
リーはヨミ達の方を見ていたようでわかっていなかったが、2人はピクトとヴァリの方を見ていて、教えてくれた。
「私は見たわ! ヴァリの体力が減っていく内に、盾の形が変わったと思ったら蒼い光線が盾から放たれていたわ!」
「あ、あと! 体力バーを見てください! 最大値が減っています!」
「ん……確かに減っているわね」
成る程。少しわかってきたわ。
体力バーの最大値、減らされた分の体力バー自体を消費して盾から蒼い光線を放つのだろう。威力はピクトの減ったHPから考えると消費した分の数倍はあるかもしれない。
「凄い威力だけど、リスクはあるわね」
「最大値が戦闘中に戻らないなら、回数制限があるわね」
「それに、自動回復されることもなくなるわ」
最大値が減っているなら、回復もそれ以上は出来ないリスクを負っている。
「蒼い光線は真っ直ぐだったよね?」
「はい、すぐピクトに当たりましたから確実ではないけど……」
「そろそろ、こっちを手伝ってくれ!」
ジュンも1人でキルーを抑えきれなくなったのか、助けを求めていた。
「全く……リー! ピクトを回復してやって! はい、薬!」
「あぁ、わかった!」
ヴァリはあの光線以外で攻撃をすることもなく、盾を使って守っているだけなので回復でタゲを取っても襲われる心配はないだろう。
「1人ぐらいは抑えなさいよ!?」
「そう言われても! なんか、強くなってきているぞ!!」
「はぁ?」
そう言われて、キルーを観察すると確かに動きが少し早くなっているような気がした。
「パワーアップしたの?」
「わからねぇ、急に動きが良くなったんだよ!」
「急に……? もしかして、ヴァリとも関連がある?」
あの蒼い光線を放ってから、キルーがパワーアップした。もしかして、蒼い光線は敵にダメージを与えるだけではなく、味方を一時的にパワーアップをする効果があった?
一時的ならいいけど、永続的な効果でまた蒼い光線を放たれるごとに効果を重ねてくるとキツいわ。
まだ序盤と言えるフィールドの大ボスが強化し続ける設定ではないと信じたいところだ。そうじゃないと、鬼畜レベルに攻略が厳しくなるからだ。
「あ、動きが元に戻ったぞ」
「そうよね」
やはり、一時的なことだったようで強化前の強さに戻っていた。
「なかなかアレを出してこないが……」
「多分、アンタが受けたのは蒼い光線の方だったじゃない? あれはピクトのHPが半分も削られる威力だったもの」
「そうか……なら、もう新しいことが出て来ないなら詰められるな」
「ピクトが可哀想だけど、仕方がないわね」
ダメージを与えていくと、また蒼い光線が放たれるがピクトに受けて貰った方がやりやすいだろう。キルーを倒すまでは、回復して頑張って耐えて欲しいと思うヨミだった。
大ボスと戦い初めてから30分ぐらいで、ようやく2人の体力バーを真っ白になるまで削りきるのだった。
「時間が掛かったな……」
「仕方がないわ。即死レベルの威力を避けながら戦うんだから」
一回でも当たれば退場させられるので神経を尖らせて、無理をしないように戦っていたから時間が掛かっていても仕方がない。
「問題はここからだけれども……」
ーーー双子よ、ここで終わることを認めるか?
「あー、やっぱり」
「ここからが本番よね」
中ボスと同じようにアナウンスが流れている間は動けない。天からの語りとなっている声を聞きながら待っていると、倒れていた双子が起き上がって手を繋ぐとーーーー
「眩しっ……」
「融合しているな……」
双子は融合し、1人になっていく。光で塗りつぶされていた双子だったが、それも収まると…………
武装乙女ヴァルキリー レベル40
レベル40の大ボスがそこにいた。
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