第106話 第2の大ボス その1



 会議をした日から翌日になった。



 ヨミのパーティはジュン、リー、マミ、メルナで組むことになった。非戦闘者が2人もいるが、ヨミにはピクトというボスクラスのモンスターがいることから此方に非戦闘者が2人いても問題はないと判断したようだ。

 もう1つのパーティは副ギルド長のメリッサが率いることになった。


「まず、俺達が先に挑んで戦いが終わったら情報を送る。それから、挑んでくれ」

「まぁ、情報は多い方が良いし構わないわ」


 メリッサのパーティは非戦闘者がいないから戦力は充分だが、レベルがまだ30に達していない人もいるからと情報を送られるまでは待機となっている。

 パーティも決まったので、ジュンの案内で大ボスがいる場所へ向かうことに。







 ジュンが案内した場所は、南のフィールドにある山脈で隠された洞窟。その洞窟には1つの立派な扉があり、それが大ボスの部屋に繋がる入口だ。


「こんな場所、良く見付けられたわね?」

「ここの山脈、中ボスがいなくてこの扉を隠す場所が多いから、もしかしたらと思ってな」


 それだけではなく、表の掲示板を読みまくって、他のプレイヤーが南のフィールドでまだ探索していない場所があるか調べていた。話題に上がっていなかったのが山脈のフィールドで可能性があると判断したのだ。


「そうなんですか! 裏の情報屋みたいです!」

「情報屋ね、それはいいけど非戦闘者の私達は何をしたらいいの?」

「あー、2人は何もしなくていい。敵から出来るだけ離れた場所にいてくれ。あと、リーが2人の護衛についていてくれ」

「え、それだと……」

「あぁ、大ボスはヨミと俺だけでやる」

「ふぅん? それで落とせると?」

「多分、それで大丈夫な筈だ。それに、お前の戦い方なら周りに味方が少ない程がいいんだろ?」

「……そうね、ピクトも出す必要になったら、巻き添えは少ない方がいいよね」

「俺を巻き添えにしないと言ってくれよ!?」


 なんと、大ボスはヨミとジュンでやるようだ。今のヨミは広範囲にダメージを与える技やピクトという巨大なモンスターがいるなら周りにいる味方は少ない方がいい。


「本当に大丈夫なのか?」

「リーの装備だと、ハンマーを一撃でも喰らったら退場させられるわよ。しかも、得物が大鎌だから回避も大変でしょ?」

「あぁ、確かに……避けるよりも大鎌で受けることが多いわな。極大ハンマーじゃ、受けきれずに吹き飛ばされるか」


 リーは武器に関して、相性が悪いので非戦闘者の2人を守る護衛として頑張って貰うことになっている。


「さぁ、行くわよ」


 ヨミが扉を開くと、そこは開けた屋内で2人の少女が立っていた。情報通り、極大ハンマー使いと大盾使いの双子で、放たれる圧力が強者であることを知らしめていた。



双子(姉)ヴァリ レベル35


双子(妹)キルー レベル35



 レベルは格上の35。姉が大盾で妹がハンマーを持っており、全員が大ボスのフィールドに入って扉が消えると…………


「ッ、いきなり突撃してくるの!?」

「すまん、言い忘れた! 3人は横へ逃げろ! 『ホーリーレイ』!」


 ジュンが大声で叫び、魔法を放って到着までに時間を稼ごうとしたが、極大ハンマーで正面から振り払われてしまう。


「なっ、振り払われた!?」

『ディープインパクト』

「もう!」


 呆気に取られるジュンを蹴飛ばして、ヨミもキルーが飛び上がって振り下ろされたハンマーに当たらないように避ける。




 ドガァァァン!




 爆発が起きたような爆音を響かせ、衝撃が広がっていく。


「本当に馬鹿力よね!? 1発でも当たればレベル30でも即死になりそうだわ」

「いてぇ、もう少し優しく助けてくれよ」

「悪いけど、そんな暇はなかったわ。想像していたよりも動きが速いわ」


 重い極大ハンマーを2本も持っているのに、普通の武器を扱うように軽やかに動いて振り回してくる。

 一撃でも喰らったら終わり、動きも雑ではなく、先を読みながら敵を叩き潰そうと動いているようにも感じられた。




 厄介な敵だわ。もしかしたら、いままで戦ってきた敵の中でも1番じゃない?

 …………うひっ、面白くなってきたわね!




 ヨミは相手が強くても、闘志が衰えることもなく、笑みを浮かべて相対するのだったーーーー





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