第105話 情報



 ピクトでハイド達のパーティを蹴散らし、西のフィールドを探し回ったが、見つからないまま時間が経っていく。今日中には見つからないなと思った先に、ジュンから連絡が来た。


「あら……、ジュンが見つけたみたいよ。ギルドホームに戻るわよ」

「はーい♪ 1人で良く見つけられたね?」

「その話を聞く為に戻るの」


 連絡内容は、大ボスを見つけて情報を得る為に挑んだとのことで、その話をしたいからギルドホームへ戻って欲しいと。

 まだ現実時間は夕方辺りなので、このままパーティ狩りをするのもいいが、情報が気になるので戻ることに決めた。






「……よし、全員集まったな」

「険しい表情から……負けたわね?」

「うっせーよ、あれは1人じゃ勝つのは難しいぞ」


 ニヤニヤとメリッサがジュンをからかうが、ジュンは戦ってみた結果から大ボスは1人で勝つのは難しいと言い放つ。


「大ボスも中ボスと同じように2体はいた?」

「そうだ。最後に融合するかもしれんが、双子の少女が現れた」

「双子ね、少女と言うから人型のモンスターでいいよね?」

「更に武器を使ってくるぞ」


 ジュンが戦って得た情報では、第二フィールドの大ボスは双子の少女で2本の極大ハンマー使いに身代わりの大盾使いだと言う。


「極大って、どのくらいなんだ?」

「そりゃ、ジョーが持っている双剣とは比べにもならないぐらいだ。人の身長よりもデカいぐらいだ」

「そんな武器を2本も!? 振り回せる筈が……」

「普通のプレイヤーなら無理だが、相手は大ボスだぞ」


 少女と聞いているが、プレイヤーではなくてモンスターであって、見た目や少女の言葉で騙されてはいけない。


「馬鹿力の少女と思えばいいわね。で、片方の身代わりって?」

「それはな」


 身代わりの大盾使い、大盾の少女は防御特化でとんでもなく硬かったらしい。それだけではなく、ダメージを与えようとしても大盾の扱いが上手く、極大ハンマーを避けながら攻撃しても全て防がれてしまったと。


「ハンマー使いが邪魔だから、先に倒そうとしたが……ハンマー使いに与えたダメージは大盾の方へ行っていた。しかも、自動回復もしやがるんだよ!?」

「うわ、先に大盾の方を倒さないと、ハンマー使いは無敵ってこと?」

「そうなるな。ハンマー使いは一ミリも体力バーが減ってもいなかったからな」


 今回の大ボスはとんでもない程に面倒臭い相手のようだ。




 ……ん?




「そういえば、ダメージを身代わりしていると言っていたけど、そのダメージ量はどうなの?」

「ん、あぁ、大盾使いに攻撃した時よりはダメージを受けていたような……」

「あは♪ それなら、対策は簡単だよね?」

「そうね、まずパーティ全員でハンマー使いに攻撃をし続けて、大盾使いを倒す」

「あ! 成る程です! 何処まで身代わりをするかわからないけど、大盾使いへ攻撃するよりもハンマー使いに攻撃した方がダメージを与えられるのですね!」


 そう、マミが言った通りに本人へ攻撃するよりも片方へ攻撃してダメージが増えるなら、そうした方がいいだろう。自動回復も回復が間に合わないぐらいにダメージを与えればいいから問題はない。しかし、まだ問題は残っている。


「融合のことは気になるけど、見てないから何もわからない。……それよりも、ハンマー使いはただハンマーを振り回しているだけじゃないよね? それだけでアンタがあっさりと負けるとは思えないわ」

「見てもいないのに、良く気付くのな。そうだよ、ハンマー使いも結構厄介なスキルを持っている…………多分な」

「おい」


 ジョーのツッコミが出る。厄介なスキルを持っていると言いながらも自信がなさげだった。


「俺だって、訳がわからねぇんだよ。ハンマーを避け続けて隙を狙っていたんだが……ハンマーを避けたのに、凄い衝撃を突然に受けたと思ったらギルドホームに戻っていたんだよ!」

「む、それだけじゃわからないわね。幾つかの可能性は考えられるけど、推測で話すよりも体験しているのを見た方が早いわ」

「珍しいな、死ぬ前提で1回挑むってことか?」


 今に思えば、ヨミはゲームを始めてから1回も死んだこともなかった。でも、ジュンが言ったことは間違いだ。


「違うわよ。なんで、私が死ぬ前提になっているのよ。死ぬのはアンタでいいじゃない」

「……は?」

「つまり、アンタがまた受けて、私達が見て対策を立てる。完璧でしょ?」

「はぁぁぁぁぁーー!? そんなの嫌だぞ!?」

「だったら、なんとか避けなさいよ」


 無茶な作戦を立てるヨミに異議を立てるジュンだが、対策を立てるには犠牲が必要なのは理解はしている。






「あー、もう! わかったよ! またアレを出させるように動けばいいだろ! ルイス、薬で1発を受けても死なないような物はない!?」

「今まで手に入れたレシピから調べますが、期待はしないで下さい」


 スキルにある『根性』みたいなHPが満タンな状態で必殺である1擊を受けても必ずHP1は残るようにする薬をルイスに求めるが、ルイスは調べてみるが、期待はしないで欲しいと突き放すのだった。


「えぇと、スキルポイントを使って買うのは駄目なんでしょうか? 確か、20ポイントがあれば……」

「足りないわぃ……」

「そ、そうですか……」

「あら、スキルも玄関にある画面から買えるの? 」

「そうですが、数は街にあるスキル屋よりも少なかったです」

「私なら街で買えるから、久しぶりに覗いてみようかしら」


 最近はスキル屋へは行っていなかったから、久しぶりに覗いてみようかなと思うヨミ。


「ルイスが調べるのも時間が必要だろうし、大ボスへ挑むのは明日でいいか?」

「パーティを分けるのも明日で?」

「そうだな。バランス良くする為にも考えておく」


 全員で第三フィールドに行きたいのもあり、パーティはジュンが考えて決めるようだ。また明日、会議室に集まることに決まり解散したのだったーーーー





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