第103話 3体目
西フィールドにある森の中で大ボスがいる場所を探していたら、ハイドが率いるパーティ達に囲まれていた。
「4体目の中ボスが倒されたアナウンスから、お前らは大ボスを探すと考えていた。お前が行きそうなフィールドを絞ったが、一発目で出会えるとは運が良い」
「へぇ、最初に西のフィールドを選んだ理由を聞かせて貰えるかしら?」
「普通なら人が少ない場所を選ぶが、お前らは違うだろ?」
ヨミとカロナは人を襲うなら沢山いる西のフィールドにしておいたジュンの気遣いが裏目に出たようだ。完全に準備された4位のハイドがいるパーティに3つの精鋭レベルであるパーティと相対すれば、ヨミでも無傷で勝つのは難しい。それに、側にはカロナもいる。流石にカロナでもあれらと戦って生き残れる可能性は低い。
はぁっ、使うしかないわね……。
ここでさっき、テイムしたモンスターを使うことに。
「どうするの?」
「問題はないわ。私達は手を出さなくていいわ」
「何? 仲間が……ッ、テイムモンスターか!?」
ハイドは仮面ちゃんが魔物使いであることは『もののふサークル』から聞いていた。聞いたモンスターは2体だけだが、他にいる可能性も考えていた。
「やらせるか!?」
「もう遅いわ。出てきなさい、『召喚』!!」
ヨミはハイドが前へ出る前に、空いた場所へ魔法陣を浮かべて3体目のテイムモンスターを呼び出した。
「ピクト。暴れるだけ暴れなさい」
「ピギィィィィィ!!」
魔法陣から現れたのは、体長が8メートルぐらいもある虫型のモンスター。その名はピクト。
「な、なっ……、ボスなのか!?」
「いや、そんなボスは聞いたことがないぞ! そして、デカい!!」
「名称はキメラ・インセクトクイーンと出ています!!」
「気持ち悪いモンスターを……」
現れたピクトの姿に呆気に取られ、恐怖を浮かべる者も現れる程におぞましい姿だった。
「か、仮面ちゃん……アレは?」
「私の新しいテイムモンスターよ。そんな見た目をしているけど実力は結構高いわ」
ピクトの姿は、まさにキメラという名にピッタリだった。基本の身体が女王アリで前足がカマキリのように鋭い鎌を持ち、そして…………
「真ん中が女王アリの頭で、右はカマキリ、左がムカデと面白い組み合わせになっているわ」
「キモい……相手をする人が可哀想になる姿ね♪」
こちらが、ピクトのステータスだ。
ステータス
名称:ピクト(キメラ・インセクトクイーン) ランク3
レベル25
タイプ1:虫系
HP:4000/4000
MP:2000/2000
ATK:600
DEF:300
INT:100
MDF:300
AGI:250
LCK:100
モンスタースキル
『炎業砲』(ムカデ)、『強酸液』(アリ)、『配下召喚』(アリ)、『暴風破』(カマキリ)、『破咬』、『複眼』、『巨斬鎌』、『複合破壊放射』
ピクトのステータスはドルマに劣るが、HPは身体がデカいだけあって、ボスみたいな姿に相応しい多さを誇っている。
「さぁ、私のモンスターを倒せたら、相手をしてあげるわ。どうせ、無理だろうけどね」
ヨミは何回もダメージを与えて、回復させると言うループをして、テイムした。それらはドルマの高い攻撃力があったことから高いHPを持つピクトを削るのは大変でもなかったが、ヨミ単体だったら苦労していただろう。
それぐらいには強いと太鼓判を押せると考えていた。
《ハイド視点》
「クソ、先にあいつを片付けるぞぉぉぉ!!」
仮面ちゃんとカロナが戦場から少し離れた場所で観戦するようだ。手を出そうと考えていないように見えたので、ハイドは全員で先にピクトを倒すことにした。指示を出して、ピクトに迫るが…………
「な、モンスターを召喚した!? アリ……まさか、配下を召喚出来るタイプなのか!?」
数の優勢が取れない! 鑑定では最下級のモンスター、アントのようだが増え続けたら危険だ!
「タルアーのパーティはアントを片付けてくれ!」
「わかった!」
アントはタルアー達に任せるが……残りの俺達であのモンスターを倒せるのか?
もし、キメラ・インセクトクイーンを倒せたとしても、まだ仮面ちゃんが控えている。討伐の為に動き、囲んだまでは良かったが……たった1体のテイムモンスターを召喚されただけで形勢逆転の状況に陥っている。
苦々しい気持ちを浮かべながら、皆と一緒にキメラ・インセクトクイーンへ挑むのだったーーーー
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