第91話 裏クエスト
ーーーワールドクエストの開始まであと1時間。
「皆、また集まって貰って悪かったわね。話があるのだけれども、その前にワールドクエストのことは理解したわよね?」
会議室、先程に集まったばかりだったが、アナウンスが来てヨミに届いたメールの件でまた会議室に集まって貰ったのだ。
「理解したが、前みたいに邪魔をして得がなくないか? プレイヤーを殺せばアイテムをゲット出来てもペナルティのデメリットを考えると動くのはなぁ」
「そう、ボウの言う通りにペナルティの内容によるけど、プレイヤーの邪魔をしても得はあまりないと思うわ。…………だけど、先程メールが来たのよ」
「メール?」
「そう、運営からよ」
「マジで!? 普通は運営からプレイヤーに干渉は好ましくないだろ?」
1人のプレイヤーに干渉していると贔屓されていると思われるだろう。もし、そのことを他のプレイヤーに知られると良い結果を生まないだろう。
「まあね、普通なら駄目だけど……私達は違うでしょ? 悪役として招待されたし」
「そりゃ、そうだけど……メールの内容はなんだったんだ?」
「そうね、このメールは『銀月の使者』へのクエストだったのよ。少なくとも私より繋がりがあるジュンに送られなかったのは、私がギルドの長だったからでしょうね」
「『銀月の使者』宛てだと? この段階に来たのはーー」
「ジョーは冴えているわね。ワールドクエスト関連よ!」
その言葉で皆が理解する。PKギルドである『銀月の使者』へのクエスト、それだけでもクエストの内容が想像出来る。
「まさか、ワールドクエストが失敗するように動けと!?」
「えぇ。勝利条件と敗北条件が違っているから、ワールドクエストのペナルティも条件が違ってくるわ」
ヨミはそう言って、メールの画面をスクリーンみたいに大きく広げて皆に見せた。
『ヨミ様、突然の連絡になり申し訳ありません。今回のワールドクエストについて、銀月の使者へクエストを通達したいと考え、連絡させて頂きました。
勿論、受けるか受けないは自由で強制は致しません。では、クエストの内容を説明させて頂きます。クエストはシンプルで街を守ろうと動くプレイヤー達の邪魔をして下さい。クエストを受注したら、クエスト中はモンスターから襲われることもなく動けるようになります。
勝利条件:プレイヤー達の敗北条件を達成する。
敗北条件:プレイヤー達の勝利条件を達成される。
勝利条件を達成した場合、ギルドホームの設備の値段が割引され、現実時間で2日間は経験値取得が増加します。失敗した場合はNPCの好感度が下がり、現実時間で2日間は経験値取得が半減します。
クエストを受ける時はこのメールに返信をして下さい。時間期限はワールドクエストが始まるまで残り10分になった時です。受けない場合、返信は不要です。
運営より」
「へぇ、クリアした時のご褒美がとても良いじゃん」
「経験値取得が増加するのは嬉しいね♪」
「まだ30を超えていないしな」
レベルが30になったら職業を変えれるし、強くもなるから早めにレベル30にしたい所だ。
「じゃあ、クエ……いえ、裏クエストを受けるで良いかしら?」
「裏か、こういうクエストはPKギルドに届きそうだが、ここしかないよな?」
「イエロー、レッドがいるギルドは今の時点ではここしかないわね」
さっき確認したが、新しいPKのプレイヤーはまだ現れていなかった。
「設備が少し安くなるなら嬉しいわね。ヨミちゃんが勝ち目があると判断しているなら受けてもいいけど?」
「勝ち目がなかったら、皆を集めないでしょう」
「いいよ♪ 楽しくなりそうだし♪」
「私は何をすれば良いのでしょうか!?」
「普通のプレイヤーである私達は何をすればいいかわからないわね……」
「安心して、役目はあるからあとで説明するわ」
ヨミは皆で動いてワールドクエストを失敗させるつもりだ。普通のプレイヤーであるメリッサ、ルイス、マミ、メルナにもやって貰いたいことは既に考えてある。
「皆から賛成を得られたし、クエストを受けるわね」
運営に返信して、クエストを受けた。門に襲い掛かるモンスターの助けになり、損害を与える。
「準備時間は短いからすぐ動くわ! この前みたいにプレイヤー達の邪魔をして、私達だけが勝利の余韻を味わおうじゃない。うひひひひひっーーーー」
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