第85話 2回目の進化
リーの友達との面接をする前に、ヨミはやることがあった。面接の場所へ向かう前に、人気(ひとけ)がない墓地のフィールドでドルマを召喚していた。
「ようやく、進化出来るのね」
村で暴れている途中で、アナウンスが流れていたのだ。ドルマのレベルが上限に達して、進化出来るようになったと。次の進化先が…………
選択肢↓
通常進化
ムラサナム ランク3
特殊進化
グリム・ロアム ランク4
あら、通常進化と特殊進化の2つに分かれているのね? 説明は……
ムラサナム
カナタムのと見た目は変わらないが、切れ味と耐久性が格段に上がっている。持ち主の技能によって、使えるスキルが増えていく性質を持つ。HPとATKが高めになっている。
ムラサナムはカナタムよりも能力が高く、使えるスキルが増えるってことね。もう1つは……ランクが4になっているわね。ムラサナムと違うのは……
グリム・ロアム
人の血を大量に吸ったことで、変異したモンスター。性格が狂暴になって、持ち主が弱かった時は従わずに襲うことがある。呪いの剣とも呼ばれており、武器として使おうとした持ち主は死体に成り果てた者が多かったと伝承に残っている。全てのステータスが高くなっており、スキルも凶悪なのが多い。
この2つから選べと言うなら、グリム・ロアムの一択ね。
「ふぅん、襲ってくる可能性があるのね……」
恐らく、進化したらまたテイムする為に戦うことになるかもしれない。しかし、ヨミはそれはそれで面白いと口元を吊り上げる。
「さぁ、進化よ」
ヨミはドルマを進化させる。カナタムからグリム・ロアムにーーーー
ドルマの身体が光り、カナタムよりも刃の部分が太く大きくなっていく。そして、普通の武器にはない部位が生まれていた。目と口だ。
「あら、生きている武器だとすぐわかっちゃうわね」
『ギゲゲゲゲゲッ!』
刃の面に2つの目、目より下に真ん中からパックリと鋭い牙を持った口が出来ていた。まさに生きた呪いの剣だと言える姿だった。
ヨミはこの姿だと、普通の武器だと偽装して戦うのは無理だなと思いつつ、襲ってくる可能性を考えて、仮面を被ろうとしたが…………
「ん? 何もしないのかしら?」
『ギゲッ!?』
なんだか、ドルマが嫌々と首を振っているように見えた。
「どういうことかしら……? あ、運営からメール?」
通例のように運営からメールが来た。
『カナタムから特殊進化をしたお祝いを申し上げます。通常なら、もう1回テイムする為に戦闘をする必要があるのですが、ドルマの服従度が既に上限に達しており、戦う必要がありません。
……一体、どうやって見えていない服従度を上げられたか気になる所ですね。では、引き続きにゲームをお楽しみください。 運営より』
服従度があったんだ。もう上限に達しているって、どういうことかしら?
「ねぇ、ドルマ。私と戦いたくないの?」
『ギゲゲ!!』
何処か、ヨミに恐怖しているように感じた。突然、ドルマが戦うつもりはないというように、峰を向けて地面に突き刺さった。持っ手が少し震えているように見えた。
「私って、そんなに怖いのかしら……?」
戦うことがなくなったのはラッキーだが、怖がられていることに少しショックだった。恐らく、同じ生き物を容赦なく殺して楽しむヨミはドルマにとっては恐怖の対象になるのに充分だったかもしれない。
まぁいいか……、ステータスはどうなっているかしら?
切り替えが早く、怖がられていても使えるなら問題はないと思っていた。そういう部分も恐怖させる要因になっていることにヨミは気付いてなかった。
進化したドルマのステータスはーー
ステータス
名称:ドルマ(グリム・ロアム) ランク4
レベル1
タイプ1:悪魔系
タイプ2:物質系
HP:1500/1500
MP:1000/1000
ATK:800
DEF:600
INT:400
MDF:600
AGI:700
LCK:100
モンスタースキル
『構成自在』、『呪怨咆哮』、『破咬』、『姿見偽装』、『追斬衝波』
強っ!? 戦っていたら、私が負けていたんじゃ……?
思っていたより高いステータスに驚愕するヨミ。ステータスだけでも凄いのに、モンスタースキルもチラホラと凄そうなのがある。
「あ、『姿見偽装』って……」
『ギゲッ!』
ドルマがまた光ったと思っていたら、カナタムだった時の姿に戻っていた。
「あぁ、『姿見偽装』ってそういうスキルなのね……」
ステータスは変わらず、姿だけを偽装出来ることがわかり、普段はこの姿でいるようにと命令しておく。軽くスキルの説明を読んで、カナタムの姿だと使えないスキルもあるが、高いステータスがあるので問題はなかった。
そろそろ向かわないといけないわね。
思っていたより時間が経っていたので、スキルの説明はあとでゆっくり読むことにして、急いで待ち合わせ場所に向かうのだったーーーー
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