第83話 商人の馬車



 ……よし、これでギルドホームのドアを設置出来たわね。


 今回、村を襲った理由であるギルドホームのドアを設置。そのドアは破壊した村長の屋敷にあり、周りの壁が破壊されて1つのドアがなんとか立っている状態になっている奴を選んだ。


「ドアも周りのと違和感がねぇ。これなら、ギルドホームのドアとは思わないな」

「材質も変えれたのは良いわね。破壊されて残ったただのドアにしか見えないもの」

「設置もしたし、これからは役割の分担をするから聞いて」

「まだあるよね♪ レッドになる方がね」


 ヨミは先程、言ったことがある。廃村にした後にレッドになる為に動くと。


「えぇ、それを今から説明するわ。マリーナの街からここの村へ向かう商人の馬車があるのよ」

「わかったぜ! それを盗賊のように襲う訳だな!」

「そうよ。必ず、1人は逃がしてやるのよ? 全滅させたら、レッドにならないから」


 次の作戦では、ここに向かってくる商人の馬車を数人で襲い、残った人は村を廃村のように偽装させる準備をする。


「襲うのはジュン、ジョー、カロナの3人。終わったら商品を載せた馬車を持って帰ってね?」

「お、ヨミは参加しねぇのか?」

「私はもうレッドだからね。1人に1人は殺して欲しいから、私が参加して数が足りなくなったら困るじゃない」


 数が少なかったら無駄足になるので、最初からここの破壊を手伝った方がいい。


「まぁ、俺らも子供じゃねえからヨミに頼りっぱなしなのもみっともねぇか」

「そうね♪」


 ジョーとカロナも納得し、すぐ動きだそうとする。


「待てよ! 通る道を知らないだろ!?」

「ここへ来る道と別の道があったでしょ? 墓地のフィールドではなく草原が広がっている方よ」

「わかった!」


 ジュンがヨミから場所を聞き、慌てて2人に着いていく。







「さて、マミ、メリッサ、ルイスはギルドホームに入って、使う生産部屋を作っておいて。お金はメリッサに渡してあるから」

「わかりました!」

「生産ね、マミは何が出来るか聞いておかないとね」

「ふむ、僕はあの薬を量産出来るかやってみよう」


 生産組はギルドホームのカスタマイズに手を付ける仕事を任せて、ヨミとボウとリーは廃村にする仕事へ掛かる。


「ボウは家の中を探索して、良い物とお金を集めておいて」

「おう、死体はどうするんだ?」

「あ、自然に消えないんだよね……1ヵ所に集めて、ルイスから溶解の薬を貰って溶かした方がいいかしら?」

「うげっ! それよりも外で穴を掘って埋めた方が良いって! なんなら、俺が穴を掘るからよ!」

「そう? なら、任せるわね。私は死体を入口前に集めるわ」


 死体が溶けていく所を見たくないのか、リーがそう提案してくれたので、そうすることにした。


「ちょっと、死体を片付けるの面倒くさいよね……運営にお願いしたら消してくれないかしら?」






 後始末が面倒臭いと呟いてる時、ジュン達はヨミに教えて貰った道を進んでいた。


「ジュン、ヨミとは仲が良いみたいだが、リア友なのか?」

「うん? そうだが」

「やっぱり♪ 会話を聞いているとそんな感じだものね」

「まぁ、メリッサにルイスも高校時代からずっと一緒だしな」

「……待てよ、言いたくないなら答えなくてもいいが……お前達って、同じ歳なのか?」

「同じ歳だが、誕生日ではヨミが1番早いから、ヨミが歳上になるな」

「ふぇっ!? マジなの!?」

「そうだったのか……、てっきりヨミだけ中学……いや、それだとPKは出来ないか」

「そうだよ~、私と同じぐらいだと思っていた♪」

「ははっ、そう見えても仕方がねぇか」


 ジュンとジョー達はまだ繋がりが薄いので、お互いのことをよく知らない。だからヨミの話題から入ったが……思ったよりも話が弾んだ。しばらく、話をしていたが、向こうから人影と馬車の形が見えてから話を止めて顔つきを変えた。


「来たぜ」

「うわぃ、殺して奪っちゃうよ♪」

「1人だけは逃がすのを忘れるなよ。逃がす奴は……御者でいいか」


 逃がす奴を決め、3人は得物を持って商人の馬車へ襲うのだったーーーー







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