第81話 村へ



 実は、休憩地になっている村は既に見つけていた。他のプレイヤー、最前線であるアルベルト達もまだ行ったことはない方面は1つだけあり、そこはーーーー


「俺と一緒に行った墓地の方面か」

「私達が目指しているのは墓地のフィールドを越えた先にあるわ」

「なんで、ここは他のプレイヤーがいないのですか?」


 目的である村へ全員で向かい、疑問を浮かべたマミが聞いてきた。


「簡単なことよ。ここは既に中ボスを倒しており、最前線のプレイヤーにとってはまだ見つけていない中ボスを倒したいと思うのよ」


 中ボスを倒した報告はアナウンス、表の掲示板で知られているので、その方面以外を探索すると最前線のプレイヤーは墓地のフィールドへ行かないようになっていた。


「マリーナの街に来ているプレイヤー達は……最前線のプレイヤーしかいないってこと?」

「最前線じゃないプレイヤーはまだ第一フィールドのボスを越えられていないわ。何せ、あのボスは中ボスだったモンスターの必殺技を使えるのよ」

「そうだったな、俺らも通過するのに大変だったぜ……」


 考えてみれば、PKプレイヤーに身を落とした者は高いPSを持っているようだ。


「ジョー達で組むと魔術師と僧侶がいないからキツいと思うが、勝っているよなぁ」


 ちなみに、自己紹介はしてあるが、ジョー、ボウ、リーはニックネームのままで良いと言われている。本当の名前よりも聞き慣れてしまっているのが原因だ。


「墓地のフィールドを越えたら、すぐ村が見えるの?」

「そうよ。そこの村を襲って、廃村に偽装させるわ」

「どうして、廃村に偽装?」

「2つ目のギルドホームはレッドでも入れるようにする為の入口よ。村でも人がいるとレッドは中に入れないでしょ? だから、人がいない村にする必要があるわ。襲うついでに村をぼろぼろにするのを忘れないで」

「廃村に偽装……もしかして、元から休憩地ではなくて廃村だったことにすると?」

「ルイスの正解! 墓地のフィールドも近いし偽装もしやすいかなと思って」


 2つ目のギルドホームと言ったが、建物自体が出来る訳でもない。ドアを付けるだけで、最初に建てたギルドホームに繋がるようになる。だから、廃村にしてドアを取り替えるだけでレッドのプレイヤーに取ってはギルドホームに入りやすい入口になる訳だ。


「別に村に付けなくても良くないか?」

「森の中や草原にドアが浮いていたら違和感が凄いでしょ? もし、PKギルドのドアだとバレたら待ち伏せ、罠を掛けられるわ」

「成る程。その違和感を消す為に廃村にドアを隠すのですね」


 皆が納得した所で、そろそろ墓地のフィールドを出て村が見えてくる。


「まず、気を付けて欲しいのは生存者を残しては駄目よ」

「うん? レッドにしたいなら少しは生存者を残した方が良くないか?」

「生存者がいると、廃村じゃなかったのがバレるじゃない。ちなみに、レッドになって貰うのは廃村にした後よ」

「ふむ……わかった。ギルドホームを設置した後に教えてくれよ」


 ヨミが望むのは、生存者を残さない皆殺しだ。全員が殺戮に参加ではなく、村人に手を掛ける者は選ぶが、万の一に討ち漏らした者を追うメンバーも準備しておく。


「一応、言っておくけど女子供でも見逃しては駄目よ?」

「鬼畜ー♪ でも、その容赦が無いところも良いよね」

「えっと……僕にはちょっと無理そうかな……」

「……ヨミがやるなら私も覚悟を決めるわ!」


 子供を殺すことに忌避を持っているリーとメリッサ。だが、メリッサはヨミだけに修羅の道を歩ませる気もないので、覚悟を決めていたが…………


「うふふふ、安心して。中で暴れる人はもう決めているの。リーとメリッサは村の外に逃げる人を追って貰うから。村の外に逃げられるのは体力がある男ぐらいだから、女子供をやる心配はしなくてもいいわ」

「でも……」

「メリッサ、ヨミには考えがあるかもしれない。今はそれでいいじゃないか」

「むぅ、ジュンの癖に」

「俺の立場が低すぎないか!? なんなら、お前と俺の差を教えてやろうか!?」

「ふん」


 いつもの喧嘩に呆れるヨミとルイス。夫婦喧嘩みたいなことをする2人を放って、話を進める。


「この先にある村は入口が1つだけ。岩山に囲まれているから、入口から逃げるのは難しいから、入口さえに気を付ければいいわ」

「他の出口を隠していそうだけどな」

「勿論、それは調べてあるわ」


 ヨミは普通の冒険者として、中に入って調べてある。見えないところ……村長の屋敷などは調べられなかったので、先に落とせば問題はない。


「突入するメンバーは普通に冒険者として入り、他は入口近くで待ち伏せ」

「私は突入するメンバーだよね!?」

「俺も入れてくれ」


 血に飢えているメンバー、カロナとジョーが名乗り上げる。


「ええ、カロナとジョーは勿論、私と一緒に皆殺しにするわよ」

「わかってるー♪」

「よしっ、任せな!」

「入口ではジュン、ルイス、ボウで逃げようとする人を消してね」

「まぁ、その采配が良いだろうな」

「わかりました」

「おう、討ち漏らしはしないぜ」

「では、メリッサ、リー、マミは後方で待機。もし、入口班が討ち漏らしたらメリッサとリーでやりなさい。マミ、今は何も出来ないけど、ギルドホームを設置した後に働いて貰うわ」

「わかったわ」

「僕の言葉を聞き入れてくれてありがとうな」

「わ、わかりました!」


 皆に役割を与え、村が見え始めたので3つのグループに別れる。




「……うひっ、カロナとジョー。楽しもうね!!」




 まだ仮面は被らない。ただの冒険者として入り、村長の屋敷に着いたら作戦の始まりだーーーー








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