第79話 ギルドホーム作成



 ギルドホームが設置出来るようになる日が来て、ヨミとメリッサは朝一番に冒険者ギルドの隣に出来た不動産に来ていた。

 土地も買わないと駄目なので、結構な金を準備しなければならない。


「思ったより人が多くはないわね」

「ギルドホームだけでも1000000ゼニになるのに、土地までも買うとなればね。アタシ達のギルドホームを建てる土地はどのランクにするの?」


 土地は街によって、価額が変動する。ヨミはマリーナの街でギルドホームを建てる予定なので、1番下のCランクの土地でも1000000ゼニも必要になる。ヨミが買う土地は……


「Bランクでしょうね。A以上は冒険者ギルドの紹介状が必要になるし」

「誰も冒険者のクエストを一定以上は受領していないから無理ね」


 という理由から、ヨミはBランクの土地を買うことに…………






「高っ! Cランクの2倍って……」

「それぐらいなら払えるし、問題はないわ」


 メリッサは思ったより高額で驚愕したが、ヨミはポンと2000000ゼニを払った。


「なんで、ギルドホームを2つも買うのよ?」

「1つはマリーナの街に使う予定で……」

「あれ、ヨミさんじゃないか?」

「あら、タクヤ?」


 ヨミのことをさん付けで呼ぶ狩人風の男は『旅立つ青鳥』のリーダーであるタクヤだ。


「他の人がいないのは珍しいね」

「あー、あいつらは不動産にいる。俺は消費アイテムを買いに行く所だ。隣にいるのは?」

「私のリア友よ」

「メリッサと申します」

「おう」


 メリッサに対するタクヤの態度が普通すぎることにヨミは気になった。メリッサの格好は少しふしだらで胸元が見えているから男からチラ見をされるのが当たり前になっている。しかし、タクヤはメリッサの胸元へ視線を向けることもなく、普通に接していた。つまり、タクヤはーーーー


「ま、まさか、ロリコン!?」

「突然にロリコン扱いされた!? 大きな声で悪評を流さないでくれないか!?」

「……ハーミン狙い?」

「いやいや、なんでそういうことになるんだよ……。言っておくが、俺はローランと付き合っているからロリコンじゃないさ」


 ローランと聞いて、誰だったかと思い出してみたらメリッサの体つきが思い浮かんだ。そして、顔を変えれば……


「あ、副リーダーの? メリッサみたいなボンキュッボンの」

「そうそ……って、変な返しをやめてくれないか……ローランに聞かれたら怒られてしまうからな」

「こら、ヨミちゃん。謝っておきなさいよ」

「ごめんね」


 完全にヨミが悪いので、素直に謝った。タクヤは苦笑していたが、許してくれた。


「おっと、あいつらを待たせることになりそうだから、行ってもいいか?」

「構わないわよ。情報を手に入れたら、ビジネスをしましょうね?」

「いいぞ。じゃ、またな」


 タクヤと別れて、ヨミとメリッサは買った土地へ向かった。








「ふむぅ、普通の家だね」

「そこからカスタマイズをするのね……え、カスタマイズするのにお金が更に必要なの!?」

「どれどれ……あー、色々な機能があるけどマミを入れてから皆で相談しよう」


 生産に関する部屋を追加することも出来るが、結構な金額が動くのでメンバーを集めてから相談することに。


「皆、遅いわね?」

「場所は送ったわよね…………あ、来たわ」


 ヨミとメリッサが外で待っていると、1つの集団が来ているのが見えてきた。案内人として送ったジュンとルイスが前を歩き、後ろには…………


「あ、仮面ちゃんだ♪」


 カロナだけはヨミの素顔を知っている。


「は? どっちが……」

「ちっこい方だよ♪」

「マジか!?」

「あ、あの子が……?」

「うははっ、見た目で強さが決まる訳でもないが、これは驚いたな!!」


 PKプレイヤーの皆だった。頭の上にある名前が…………イエローではなく、普通の黒色になっていた。


「うん、薬の効果は問題なさそうね」

「これで堂々と街の中を歩けるぜ」

「さぁ、ギルド申請を送っておくからね。中に入って」

「あ、ヨミちゃん!」

「あら、良いタイミングね」


 皆にギルド申請を送っていた時にマミが手を振って走ってきた。マミにもギルド申請を送り、申請が終わった人から中へ入るように言う。


「うん、皆の申請を受け付けたわ。では、これからは皆は仲間よ」

「仲間! 私は闇商人をやっているマミです。宜しくお願いします!」

「この子は……間違えていたらすまないが、中学生じゃないよね?」

「あ、はい。まだ中学生だからPK関係には関われませんが、PKした人のアイテムや武器等は私に渡してくれたら、売ってきます!」


 リーが気になり、聞いてみたらマミは笑顔でヨミに頼まれたことをやっていると答えた。


「うはははっ、その時は頼むぞ」

「はい!」

「そういえば、仮面ちゃんと呼び続けた方がいいのか?」

「いえ、私の名前はヨミ。仮面ちゃんは仮面を着けている時だけにして」


 ヨミはレッドになった自分の名前を見せてから、仮面を被ると名前が溶けるように消えて見えなくなる。


「おおう! 仮面のお陰で見えなくなっているのか……しかも、もうレッドになったのかよ?」

「勿論、この中で数人は一緒にレッドになって貰うわ」

「全員じゃなくてか? あ、マミ以外でな」


 ジュンがレッドになる人物を選ぶ理由を知りたいと。


「黒色とイエローもいた方が動きやすいからよ」

「でも、レッドになっちゃうとヨミちゃん以外は街の中に入れなくなるよ?」

「もう、それは解決出来るわよ」

「え、どういう…………あ」


 メリッサの疑問はヨミが買った物を思い出して解消された。


「どういうことだ? わからない人もいるから教えてくれ」

「ふふっ、これを見て貰えればわかるわ」


 ヨミはアイテムの欄が表示されている画面を可視して見せると皆が驚くも納得した。




「街外にももう1つ、ギルドホームを置くつもりよ」









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