第78話 運営側&裏掲示板の回



 貴族から暗殺依頼をヨミが達成した後、運営側でまた集まっていた。会議室のような場所でウサギの縫いぐるみを中心に複数の縫いぐるみが置かれている。

 皆が集まったのを確認した後、ウサギの縫いぐるみから所長の声が流れる。


『またあの子のことで話があると聞いたが?』

『はい。この前のことも含めて報告をしたいことがあって、集まって貰いました』


 キツネの縫いぐるみが皆を集め、報告したいことがあるようだ。


『まず、イルミナ嬢のことで……』

『またスキルを渡したみたいですよ』

『ちょっ、僕が説明しているじゃないですか!』


 キツネが説明をしようとした所に横からタヌキにインターセプトされてしまう。


『それは聞いたわよー。あの魔法を渡しちゃったとか』

『貴女まで……!』

『スキルの性能は現在の進行では、ちょっとオーバーキルですが……』

『問題はないだろ。あの魔法は強いが、他のスキルよりもレベルが上がりにくい特性を持っている』


 羊、ワニと……キツネの説明を奪っていく。キツネは慌てて、全てを説明されてしまう前に新たな情報を発してしまう。


『待ってください! イルミナ嬢が渡したプレイヤーは他にもいます!』




 ピタッ




 キツネはようやく言いたいことを言えて満足していたが、周りはそうはいかない。


『……待て、何と言った?』

『ヨミちゃん以外に渡したプレイヤーがいると……?』

『は、はい。最近になって、突出し始めたプレイヤーです』

『はぁっ……、あとで調べる必要があるな。なんのスキルを渡した?』


 初めて聞いた情報なので、どんなプレイヤーかはまだわかっていない。キツネに調べるようにと指示を出して、何のスキルを渡したのかと聞くとーー


『あ、月光魔法と対極の……』

『アレを!?』

『あの子のように気に入られたのかしら……?』


 月光魔法と対極なる魔法。魔法の名前は出さなかったが、特殊魔法なのは間違いはない。特殊魔法を使える者がもう1人、生まれたと言うことだ。

 強い魔法だが、連絡して回収する程ではないと判断された。


『最近、とんでもないことを聞くようになったな』

『はい。もう1つ、報告がありますが……もう知っていますよね?』

『あぁ、初のレッドが現れたことだろ。あの子だがーー』

『なんでか、似顔絵は仮面の姿になっていて、名前もニックネームで広まっていたわ』


 ニックネームで指名手配されることは運営側も予測はしていなかったことだ。普通ならあり得ないことだが、運営側に予想外のことが起こってのこと。


『貴族を味方に付け、偽造した……いや、本当のことしか書かれていないから嘘ではないな』

『あの子は素顔を隠すために、わざと仮面の姿で指名手配された。それの暗躍を貴族に手伝わせたと』

『あの子の動きは読めませんね。普通はNPCの貴族と仲良くなり、わざと指名手配されるとは考えもしませんよ』

『次は何を起こしてくれるかな。楽しみだわ♪』


 皆がヨミの働きに呆れる中で、これからギルドホームが出来るようになり、ヨミがまた何かを起こすか楽しみにしている運営側であった。






 運営側がヨミのことを話題にしている間、ヨミはPKプレイヤー専用の掲示板で提案をしている途中だった。




47.仮面ちゃん(62戦62勝0敗)

 どうかしら? 皆にも損はないと思うけど。


48.斬り裂き魔のジョー(49戦49勝0敗)

 乗った! 俺も入れてくれ。


49.鎌切りのリー(27戦27勝0敗)

 確かに、僕らにも損はないな。


50.夜弓のボウさん(32戦32勝0敗)

 あの薬をくれるのはありがたいな。それに、仮面ちゃんが主導してくれるなら面白そうだ。


51.マスクちゃん(26戦25勝1敗)

 私も入る! そしたら、沢山殺せるよね!?


52.仮面ちゃん(62戦62勝0敗)

 マスクちゃん、良い殺意ね。勿論、そうなるように動くから楽しみにしていなさい。



 マスクちゃんはこの前、ヨミ達を襲ったカロナのことだ。結構な数を殺しており、実力に期待できる人材だ。

 まだレッドになった人はヨミだけだが、この中の数人は近々にレッドになれるように頑張って貰う予定だ。




 ふひっ、これで人材は揃えられるわね。あとは場所だけ…………うひひひっ、楽しいわね!!





 ヨミはある意味、イルミナの世界と言うゲームを1番楽しんでいる人物かもしれない。笑みを浮かべて掲示板を書き込んでいくのだったーーーー








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