第53話 討伐隊
《ハイト視線》
「参加条件は名前の公開、俺のパーティからの推薦が必要だ。それぐらいの警戒が必要なのは理解してくれ」
「厳しくないか? 名前はともかく、推薦はな……。かなり絞られて、少数になってしまうんじゃないか?」
多数のプレイヤーが集まっている中で、ハイトが台に立って説明をしていた。そのプレイヤー達から手を挙げ、質問する者がいた。ハイトは確かに厳しい条件だと理解しているが……
「そうだな。少数になるかもしれないが、なによりも内部に敵がいるのは好ましくはない。PKをしていないが、PKプレイヤーの仲間だったりと……俺はそういう者を排除して、挑みたいと考えてのことだ」
「それに、多数の仲間がいても連携が出来なければ意味がないもの」
ハイトの横に立っている女性が応える。その女性はハイトのパーティ仲間で、イベントでも一緒だった第8位入賞のプレイヤーである。その女性、レムもハイトの慎重さには同意している。
もし、内部に敵が紛れていると作戦が漏れてしまい、勝てる戦いも勝てなくなるのだから。
(敵は確認出来ているのが4人。特に仮面を被った奴は危険だ。モンスターもいたが、1人で30人以上も倒したと聞いている。なら、数だけを集めても意味はないと考えた方がいいか。)
「もし、30人を超えるならまた絞り込むからそのつもりで頼む」
「もしかして、6人のパーティを5つ作るのですか?」
「あぁ、連携を考えるとその構成がベストだと思う」
顔見知りで推薦があるぐらいに信頼しているなら、問題はないだろう。他の奴ならともかく、仮面の野郎は俺たちが相手をした方がいいかもな……
100人を超えるプレイヤーの中から24人を選ぶ。ハイトのパーティは既に6人埋まっているから、24人を選ぶことになる。ハイトは100人以上いるプレイヤーの中で見知った顔を見つける。
「む、ルイスか。まさか、お前も討伐隊に参加しようと思うとは」
「そうですか? 僕もイベントで稼げませんでしたし、参加する理由は皆と同じようにありますよ」
「そうか……」
そう言われてしまえば、納得するしかないハイトだが、何か引っ掛かりを覚えていた。
(なんだ? むず痒い感じは……?)
怪しい……と言うほどでもないが、イベントでは助言を貰って、可能性を教えてもらったこともある。だが、本当だと証明された訳でもない。だからなのかもしれない。この引っ掛かりを感じる理由は。
「……よし、ルイス。お前は俺から推薦してやる」
「おや、構わないのですか?」
ルイスとの付き合いは長い訳でもない。信頼をした訳でもない。なのに、討伐隊へ推薦しようとする理由は?
(気になるなら、俺が直に見張ればいい。違うならそれでも構わないが…………もしもの時は俺がやればいい)
ルイスが敵だと確信してはいないが、放っては置けないと思ったから、近くで見張った方がいいと判断したのだ。パーティの仲間にそのことを伝え、1人が他のパーティに入り、ルイスを受け入れたのだったーーーー
ルイスからメールを受けたヨミは『疑われている可能性高』を読み…………
「ふひっ、ふひひひ!!」
1人で笑うのだったーーーー
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