第46話 キッカ
新たにテイムしたモンスターの名前は『キッカ』に決まった。カスタムのことがなければ、他の名前になっていたかもしれないが。
「よしよし、これでオッケーで……『防具化』!」
白いキッカのコサージュ DEF+35,MDF+45
耐久力:250/250
『自動防御』、『拘束』、『自動耐久回復』
キッカと名付けられた、モンメのステータスは下記の通り。
名称:キッカ(モンメ) ランク1
レベル14
タイプ1:アンデッド系
タイプ2:物質系
HP:250/250
MP:120/120
ATK:19
DEF:35
INT:24
MDF:45
AGI:51
LCK:10
モンスタースキル
『拘束』
気付いただろうか? モンスタースキルの欄に。そして、防具化した後に現れた、別の名前も。
これらは、運営からメールで書かれていた、『カスタム』のお陰だ。カスタム中にGMに連絡して、知ったことだが……今回のような決まったモンスターをテイムし、そのモンスターに繋がるスキルを所持していることで、『カスタム』という裏技的なコマンドが生まれると。
もちろん、モンスターとスキルの組み合わせだけではなく、スキル×スキルと言う展開もあるようだ。そうじゃないと、余りにも魔物使いに有利すぎるのだから。
では、今回のことを説明するなら……『カスタム』はボーナスのような物で、モンメを好きな形に変え、名前も好きなように変え、装備することが出来た。最初は、腕に巻くように装備するつもりだったが、『カスタム』はヨミにとって、好都合だった。
「うんうん、菊花になっているわね」
そう、名前と同じように形は菊花に似せており、今は帽子にアクセサリーとして着けている。ただの菊花では、戦いでは役に立たないので、少しだけ弄ってある。
「キッカ、動かしてみて」
「シュア?」
「どうやって、声を出しているんだか……うん、ちゃんと動かせているね」
キッカから細長い紙が4枚も垂れている。細長いが、ステータスからそのまま、DEFとMDFの数値が現れており、結構固めだ。
そして、気になった項目が1つだけあるだろう。
モンスタースキル
『自動防御』、『拘束』、『自動耐久回復』
これだ。ステータスには、『拘束』しかないのに、『自動防御』と『自動耐久回復』は何処から来たのか?
カスタムでスキルが増えるとか、マジ万能だわ。
そう、これも『カスタム』によるスキルの選択が出来たのだ。幾つかのスキルが選択肢が出て、この3つを選んだ訳だ。
3つのスキル以外では、『叩く』、『増殖』、『伸縮』があった。
『叩く』は防具でありながらも攻撃に加わることが出来る。だが、ATKが低いから却下した。
『増殖』と『伸縮』はキッカの細長い紙に対応しているが、数を増やすとキッカは操作が難しくなり、『伸縮』はスキルが無くても、最長5メートルまで伸ばせるので、不要。
という訳で、『自動防御』、『拘束』、『自動耐久回復』を選んだ。
『自動防御』はヨミの指示やキッカの意思がなくても、装備者に危険が迫った時に、自動で防御体制に移行してくれる。
『拘束』は元からモンメが持っていたモンスタースキルで、細長い身体を以て相手の身動きを封じることが出来る。
『自動耐久回復』は戦闘中でも1分に耐久力が5も回復する。
「……うん、いいね。ふひぃ、皮肉が効いて、面白いわね!」
最後に、菊花の形にしたのかは……白い菊のことを花言葉で『真実』だからだ。
実際はアルティスの仮面で『真実』を誤魔化している。なのに、『真実』の白い菊花を着けている。
それに気付く人がいるかわからないが、矛盾で不可解なことにヨミは面白いと感じていた。それは、ヨミが普通の精神ではないと言う証明であったーーーーーー
「……何を考えているんだろ? 私は……」
すぐ素に戻り、さっきまで考えていたことが中二臭かったことに、恥ずかしがるヨミであった。
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